2006/10/09
2008.07.28

5話 過去世の法則・人間関係(その3)

 

知らず知らずのうちに影響を受けているかもしれない過去世について、その影響を解消する「過去世の法則」のキーワード「ごめんなさい」と「愛しています」を紹介しましたが、今回は3つ目のキーワードをご紹介しましょう。

それは、「ありがとう」です。さらに、その言葉が働く心と魂の関係をもみていきましょう。

 

あなたの感謝を伝えましょう

 

「ごめんなさい」と「愛しています」を心の中で言っても、あまり関係が改善しない場合、相手の魂が求めているのはあなたの謝罪や愛ではなく、感謝であることが多いです。

 

日常生活でもピンポイントで原因を特定し、それを解消する想いを伝えるのと伝えないのとでは、人間関係で大きな差が生まれますよね。過去世も同じです。

 

ソウル・セラピーに、30代の女性がやってきました。家族や体調などをお聞きすると、キビキビとした口調で応え、いかにも優秀な人だろうという印象を与えます。お仕事を伺うと、ベンチャー会社を経営していると言います。

 

「もう毎日ひたすら走っているようなものです。さらに事業を拡大するには社員の教育が不可欠だと思い、最近は社員を鍛えようとしています。でも、どうも皆の士気が下がる一方なんです。私一人が突っ走っているようで、このまま走り続けていいものかという想いが時折よぎるんです。」と不安そうに話します。

 

ソウル・セラピーでは、心や魂だけでなく、体のエネルギーの流れを整えるために、整体をすることが多いのですが、彼女のパンパンに凝り固まっている首をほぐしていると、周りの人の想いが伝わってきました。

 

「こんなに働きたくない」「今まではこんなこと言われなかったのに!」「そんなに怒らなくてもいいじゃないか」「そんなに言うなら社長一人でやればいいじゃないか!」などなど、どうやら社員のクレームのオンパレードです。

 

彼女に伝えたところ、「やっぱりそうですか・・・」と驚いた様子です。「ただの私の手足になるのではなくて、彼ら自身で頭を使って仕事をしてほしいと思っているんです。うちの会社じゃなくてもどこに行っても通用するようにと鍛えていたのに、全然私の気持ちは通じていなかったんですね」

「『皆を育てたい』というあなたの気持ちを社員に伝えたことはありますか?」

「そう言われると、改まって伝えたことはないかもしれません。でも彼らは私のことをいつも良く理解して支えてくれるんです。だから言わなくてもわかってくれていると思っていました」

 

「では改めて、今ここで心の中で彼らにあなたの気持ちを伝えてもらえますか。そして、いつも支えてくれてありがとうとお礼も言ってください」と言うと、

「わかりました」と目を閉じました。しばらくすると、彼女は、「少し首の凝りが取れてきました。でも、まだ芯が残っている感じです」と言うのです。

 

さらに首をほぐしていくと、「もっと感謝してもいいじゃないか!」という誰かの想いが伝わってきました。今度は「過去世の想い」です。どうも近世のヨーロッパあたりで社長は貿易に関する商売をしていたようです。社長の商売の規模が小さく、あまり情報が入ってこないため、商売仲間(今の社員)が船荷の情報や天候の話に始まり使用人の世話まで、何かと社長の面倒を見てくれ、非常にお世話になっている様子が伝わってきます。それなのに社長はそれを当たり前だと思って、社員に感謝の気持ちもありません。

 

この話を社長に伝え、「随分お世話になったことがあったようです。『あいつは感謝が足りん!』という過去世の社員の想いが残っているので、社員さんたちを思い浮かべて、失礼な態度を謝って、感謝の気持ちを思ってもらえますか」と話すと、「はい、わかりました」と素直に応えてくれました。

 

しばらく「ありがとう」と心の中で思ってもらいながら、首をほぐしていると、首の奥に固まっていた凝りがふっと取れました。「あ、楽になりました。不思議だわ〜!」

「つまり、皆にもっと自分の思っていることを伝えなければいけないということね。それから、きちんと感謝も伝えた方がいいんですよね。何だか面倒だけど、やるしかないわね」と軽くなった首を左右に振りながら、喜んで帰っていきました。

 

過去世の法則のキーワードは、人間関係だけでなく、自分の癖や体の不調にも効果を発揮します。どうしてそんなことが起こるのか、まずは心と魂の関係図を見てみましょう。

  

心と魂の関係

 

私たちの魂は、心の奥深くに埋もれているというふうにみてください。

図でそのイメージを表すとこのようになります。

一番中心にあるのが魂です。この魂の周りを覆っているのが解消されていない凝り固まった想いであり、それらは、「過去世の心の想い」とそれをさらに覆っている「今の人生での心の想い」から成り立っています。

 

今現在の心の想いが一番外側の円の表面にあるものです。私たちは成長するに従って、心の凝り固まった想いがどんどん積み重なっていきます。しかも過去世で凝り固まった心の想いが影響して、現在の心の想いを作り上げていきます。つまり、過去世の心の想いに関連する現在の心の想いがそれに輪をかけて、積み重なっていくのです。

 

だから、現世的に「あやまる」「感謝する」だけでは、表面的な効果しかない場合が多いのです。原因は、元から絶たねばならないのです。ここに、過去世まで含んだ治療の意味があるのです。

 

ただ、心の想いは降り積もる一方かというと、そうではなく、これらの想いを外すために、私たちにはさまざまな試練が与えられます。試練から逃げ出すとそのチャンスを失うばかりでなく、反対に心の想いがさらに積み重なってしまいます。一方、試練を乗り越えると心や過去世の想いを解消して、魂と心を近づけることができるようになっています。

 

先程のベンチャー経営者を例に見てみましょう。

 

一番外側の円の表面に、今現在の「どうしてもっと積極的に働こうとしないの?!」「言わないとわからないの?」「私を怒らせないでよ!」という想いが渦巻いています。その想いは毎日積もり、凝り固まっていきます。

 

二番目の円には「過去世の想い」が詰まっています。今回の過去世では、社長は自分よりも規模の大きな商売仲間(今の社員たち)に随分お世話になったのですが、それを当然として受けていたため、社員たちの社長に対する「感謝が足りない!」という想いが詰まっていたのです。つまり、社員たちの「社長の感謝が足りない」という想いは過去世から続いていたのです。

 

一番内側にある「魂」は、「今の人生での心の想い」と「過去世の想い」を解消させるために、あなたに試練を与えます。「社員と上手く意志の疎通ができず、士気が下がる一方」というトラブルとしての試練です。この試練から逃げ出さずに、社員と向き合って事態の解決を図ることで、魂に降り積もった想いを外すことができます。ところが、向き合うことを避けてしまうと、想いを外す絶好の機会を失うばかりでなく、反対に心の想いがさらに積み重なってしまうのです。

 

過去世も含めた心の凝り固まった想いをどれだけ解消することができるかによって、心を如何に魂に近づけるか、つまり、魂の想いと心の想いがだんだん一致するようになっていくのです。このことに関しては、これ以上触れませんが、後の章でさらに詳しくお話したいと思います。

 

試練は、人間関係のトラブルや体の病気、心の病気などさまざまな形でやってきます。この試練が、私たちの心を魂に近づけるために、この凝り固まった心の想いと過去世の想いを解消するために与えられているとしたら、過去世の法則も実は大きくあなたの役に立つかもしれないのです。

 

魂を覆っている心の想いには、自分自身の凝り固まった想いだけでなく、周りの人の想いも積もります。そのため、自分の想いだけでなく身近な人の想いも伝わってくるのです。そして、そういう想いに対して「ごめんなさい」「愛してます」「ありがとう」と伝えて解消することで、魂の覆いを外していくことができるのです。

 

私たちは、現在の心の想いと過去世の心の想いを区別することで、従来の心理的、あるいは医療的なアプローチを超える可能性を持っています。たとえ科学的な証明がずっと後になったとしても、悩み苦しんでいる人たちの治療やアドバイスを、ソウル・セラピーで今行っていくことが大切だと思っています。それは現実に効果があり、苦しんでいる人たちが待っているからです。

 

今回の紹介したベンチャー企業の社長は、首がガチガチに凝っていましたが、社員たちの現在の心の想いに「ありがとう」と感謝を伝えて解消しても、首の凝りは表面しかほぐれませんでした。ところが、さらに奥深く潜んでいた過去世の社員たちの想いを解消したことで、首の奥の凝りもほぐれたのです。

社長の首の凝りは、単なる血行不良によるものだけではなく、魂を覆っている心の想いを解消するために、カラダが発しているサインでもあったのです。これから先、社長が同じことを繰り返さずに、考え方(「みんな当然わかっているだろう」)や行動(説明せずにどんどん突っ走る)の癖を修正できれば、社員の不満が魂の上に積もることもなくなり、首が凝ることもなくなっていくのです。

 

次回は、過去世の法則と病気の関係を見ていきましょう。

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