2013.09.23

                 第6話 「四魂の窓」の特徴
 「四魂の窓」の説明にあたり、まず、その開発過程を振り返ってみましょう。前回も触れましたが、心の構造をひも解く心理学「四魂の窓」は、「古事記」「日本書紀」の時代に遡る、「一霊四魂」という考え方をベースに開発されました。その「一霊四魂」は、出口光博士とプロジェクトチームにより、1,300年以上たった現代になって、大きな進化を遂げました。
 
 出口博士とプロジェクトチームが、「一霊四魂」に現代の心理学と哲学の光を当て、科学的で実用的な解釈と応用技術の開発に取り組んだ結果、誕生したのが個性認識学「四魂の窓」です。「四魂の窓」は、仕事、人間関係、生き方、天命の探究など、人生そのものに優れた力を発揮するテクノロジーとして、幅広い分野で威力を発揮するようになりました。

 「四魂の窓」のテクノロジーには、大きく次のような特徴があります。

 数ある特徴の基礎になっているのが「心」と「魂」を分けるという考え方です。「心」は揺れ動く分野、「魂」は不動で、その人の本質とも言える分野、という分け方です。誰にでも、揺れ動く「心」と、決して揺れ動くことのない「魂」があるということです。「心」はその時々の状況で刻々と変化する感情、「魂」は場に影響を受けることのない、その人が抱く究極の思い・究極の願いと解釈することができます。「スポーツマン魂」「経営者魂」「職人魂」など、強く不動のものをあらわす時に使われてきました。

 「魂」だけに焦点を当てていれば、その人が人生に求めるものが常に見えていて、安定感があり、行動にも一貫性があります。「心」だけに焦点を当てていると、その場の状況でコロコロ変化するので、不安定で安心感がもてず、行動にも一貫性がありません。しかし、その「心」の揺れは、実は「魂」に由来するものだということがわかると、人が抱く悩みや嘆きにさえも、その人が人生に求めている究極の願いと言えるものが見えてくるのです。

 「四魂の窓」では、魂の働きを4つの機能であらわしています。勇(ゆう)」「親(しん)」「愛(あい)」「智(ち)」です。

 一人の人の中に、4つの機能が全てありますが、どれが強く出ているのか、更に4つがどのように組み合わされているのか、その組み合わせの妙によって、性格が違ってきます。

 診断方法で始めに開発されたのは100問テストで、所要時間が約30分でした。次に18問テストが開発され、現在は、2問だけの質問で診断できるまでになりました。2問で診断できるようになったことで、自分のみならず、相手と一緒にいるとき、相手の顔を見ながら、あるいは相手の話に耳を傾けながら診断するということまでが可能になったのです。

 次の2つの質問に答えることで、「勇」「親」「愛」「智」のどれが優勢かを診断することができます。  

 2つの質問の答えの組み合わせで、その人の特徴がわかります。

 それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。ここでは、大きく分けて、「代表的な特徴」・「人の話を聴く時」・「人からの批判」・「心の声」・「魂の思い」の5点について触れていきます。

 「勇」ベースの人は行動力があります。「何事もやってみなければわからない」「まずはやってみよう」「とにかく行動することが大切だ」と考えています。常に夢や目標をもち、それを達成しようという強い意思があります。

 人の話を聴く時は、「自分にできるか」「これは使えるか」「この人はやる気があるか」を考えながら聴いています。

 自分の目的を達成するためにまっしぐらに行動し、目的以外の物事に対する興味が薄いので、周囲の人から「人の話を聞かない」「説明しない」と批判されることがあります。

 人生を「達成すべきもの」と捉えているがゆえに、「とても無理だ」「できるわけがない」という心の声も同時に出てきます。また、人から意見されると「邪魔された」と思う傾向があります。

 「勇」の魂が大きくなると、大義や志に生きようという思いが強くなります。大義のためには、自分を捨てて礎になることも辞さないという程の潔さが出てきます。命をかけられるほどのことに出会いたいという強い思いを秘めているのです。

 「親」ベースの人は、自分が所属するグループや組織の「平和」や「調和」を第一に考え、そのために役に立つことを願っています。常に安心で安全な場を求め、そのために自分が役に立てることは何かを考えています。

 人の話を聴く時は、「自分や自分のグループに関係があるのか」「仲間の利益になるのか」「自分の役割は何か」を考えながら聴いています。

 その場全体がうまくいくことが大切で、そこにいる人のどんな意見にも「なるほど、そういう意見もあるのですね」と耳を傾けます。どんな意見にも頷き、自己表現をあまりしないため、人から「八方美人」「何を考えているのかよくわからない」などと批判されることがあります。

 自分自身のことよりも周りを優先させ、その場の平和や調和を図るために、自分の役割が何かを常に考えているからこそ、「役に立っていないのではないか」という心の不安をもっています。また、波風が立たないよう、常に気配りをしているので、場を乱されて皆が迷惑をかけられていると感じるとき、「空気を読めよ」「場をわきまえろ」「皆に迷惑だ」という心の声が出てきます。

 「親」の魂が大きくなると、大和のために行動するようになります。小さなグループの和に留まらず、多くの人と繋がり、大きな和を紡ぐための行動を起こすようになります。

 「愛」ベースの人は、相手との一対一の深い関係に価値を置き、思いやりや優しさに満ちた関係を求めています。「相手を幸せにしたい」「何かをしてあげたい」という思いをもっています。

 人の話を聴く時は、「この人のために何をしてあげられるだろうか」「自分は必要とされているだろうか」と聴いています。

 話しかける時に、「忙しいところ悪いんだけど、ごめんね、大丈夫?」などと、相手の気持ちを思いやるがゆえに前置きから会話をスタートさせることが多くあります。内容を伝えるときには、相手に気を遣って遠回りな表現をすることも多く、人から「話が長い」「暑苦しい」と批判されることがあります。相手のためにと思ってしたことが「余計なお世話」と思われることもあります。

 人の気持ちに敏感で、愛し愛される関係を築くことを大切にしているがゆえに、「嫌われるのではないか」「必要とされないのではないか」という不安をもっています。そして、自分の感情や思いやりを理解してくれない人に対しては、「人として許せない」「同じ空気を吸いたくない」などという心の声が出てきます。

 「愛」の魂が大きくなると、「余計なお世話」や見返りの愛情を求めることがなくなり、無償の愛が出てきます。多くの人を大きな愛で包み込み、育み、温かさや安心感、居心地の良さを与え、ものごとを創造するようになります。

 「智」ベースの人は、興味や好奇心を大切にし、真理を探究することに価値をおいています。常に優れた情報を探し、ものごとを観察・分析し、工夫しています。

 人の話を聴く時は、「本物かどうか」「おもしろいかどうか」「わかるかどうか」「なぜそうなるのか」と、自分の基準に照らしながら聴いています。

 興味の探究のための情報交換を大事にしていて、感情交流は希薄です。良い情報をもたない人や、才能がないと判断する人にはあまり興味を示さず、事実をストレートに表現するので、人から「冷たい」「批判的」と思われることがあります。

 基本的に、ものごとが自分の基準に達しているかどうかで評価する傾向があり、自分自身をもその基準で評価するので「自分には能力が足りない」「馬鹿だと思われるのではないか」という心の不安をもっています。また、論理的でない話や、説明をしないで指示する人などに対して、「頭悪い」「わかってない」という心の声が出てきます。

 「智」の魂が大きくなると、世の中を便利に合理的にするために真理を探究し、優れた情報や技術を広めたいという思いが強くなります。人を認めることができるようになり、世の中の進歩に貢献するために行動するようになります。

 「四魂の窓」を通すと、互いの魂の思い、つまりはその人の人生における究極の願いとも言えるものが、手に取るように見えてきます。そして、人の数だけあるそれぞれの天命・使命・志を見つけ出すための大きなヒントを得ることができます。

 これから具体的に、「四魂の窓」が教育実践の場でどのように生きるのか、体験を通して掴んだことを書かせていただこうと思います。次回は、「四魂の窓」とある少年との出会いです。


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