2012.12.03     

                 第88話 「セルビアの稲妻」
  1. ニコラ・テスラという人物

   ローマからセルビア共和国のベオグラード空港に到着し、迎えの車に乗って間もなく、雷が鳴り雨が降ってきました。

 首都中心を離れ、郊外に出ると平原が広がっています。稲妻の様子がよく見えます。きれいな閃光が幾筋も連なって縦に走り、横に走ります。 日本で見たこともない雷のオンパレードです。

 目的地のレスコバス到着までの3時間、雷はまるでラスベガスのネオンサインのように光続けています。なんだか心躍り、嬉しくて車窓から子供のように空を眺めていました。

 セルビアの首都に位置するベオグラード空港は、正しくはベオグラード・ニコラ・テスラ空港と言います。

 ニコラ・テスラという名は、聞きなれない名ですが、1856年〜1943年代に存在し、当時最先端の科学技術をもって世を圧巻した大天才科学者です。それはエジソンやアインシュタインもかなわぬほどの理論を打ち立てたといわれます。

 テスラは非常に逸話の多い人物です。地震をおこしたり、天候を変えたりする技術はもとより、空飛ぶ円盤の飛行技術や、空間を瞬間移動させる技術なども開発したといわれます。

 ある日、テスラが山の中をあてもなく歩いていると、突然、一閃の稲光が走り大雨が降ってきました。その稲妻の電気的なエネルギーが雨を降らせるきっかけになったのを見て重大なインスピレーションを得ます。

 もし、自然界に存在する電気エネルギーをとりこむことが出来れば、地球の環境を変えることができるという理論を打ち立てたことから「雷博士」ともいわれました。

  1. フリーエネルギーの先駆者

 その後、彼の研究は進みます。

 「地球は電気を帯びたエネルギー体で、この電気は無限に存在する。空間はエネルギーで満たされているのだ」

 「われわれは無限の空間を、想像もつかない速度で渦を巻いて回転している。すべては回転運動しているのだ。すべてはエネルギーである。近い将来、人類は空間の中で好きなところからエネルギーを取り出すことができるようになる。 この電気振動と共振し、膨大なエネルギーを無限に取り込むことができれば、石油や石炭に頼らなくても、世界中に人々に無料でクリーンなエネルギーを永遠に提供できる」

 こう考えたテスラは、これを「世界システム」と名づけ、夢のようなフリーエネルギー理論を実現させるべく実験を開始します。

 世界システムの実施により、人類が幸福になることはわかっていました。しかし、この理論の実現は国家利益に反するとされ、テスラの実験はことごとく闇の権力によって迫害を受けました。

 苦難にめげず、テスラは言います。

 「私の計画は、自然の法則、霊界の守護霊によって統制されている。世界はまだ準備が整っていない。だがこの法則は最後に勝利するだろう」

 テスラの研究は両刃のツルギです。平和利用すれば、とてつもなく素晴らしいものになります。しかし、兵器として開発すれば、「地球を真っ二つにする」ほどのエネルギーを発生させるほどの力をもつという、核を凌ぐとんでもないものを生み出します。

 そんな天才科学者ですが、晩年、彼はニューヨークのホテルでひっそりと孤独死を遂げます。死後、すぐに米国大統領の命令で、FBIがテスラの資料のすべてを没収し、機密事項としたのをみても、その偉業がうかがえます。

  1. 神霊の存在を認める科学

 テスラの研究の中心になる原理とは、物理的な世界を循環する宇宙エネルギーが共振と、その共鳴によって成り立っているということ。つまり、宇宙は音楽的な関係でつながっているということです。

 「創造主は、故意にこの惑星を電気的に設計した」とテスラはいいます。

 1907年にテスラは語ります。

 「生命力、あるいは創造力は、時空間を満たす原始的な実体である光のような霊気にはたらきかけ、目に見えるすべての物質と物事を生み出します。その原始的な実体は超高速で回転する極小の渦に凝縮され、可視的な物質となります。 その運動が静まれば物質は消え、希薄な霊気としての実体に戻ります」

 これは、言霊の理論とまったく同じです。

  1. 言霊の法則と一致する科学理論

 和良久は言霊、すなわち宇宙エネルギー理論の学びです。

 まず言霊の発声で大気中に振動を起こし、空中電気を凝縮させます。次に、水火の結び(天津金木)をもってこれを体内に取り込みます。そして、八力の螺旋運動(天津菅曾)によって光に変換します。光とは生命の輝きのことです。

 火と水は、言い換えればプラスとマイナスの電気的力です。神は火水と書きます。

 祝詞にある「高天原に神つまります」とは、「宇宙空間には電気エネルギーが凝縮し満たされています」ということです。

 霊界物語にはこう書かれています。

 「宇宙間には、神霊原子といふものあり。また単に霊素とも火素ともいふ。

 火素は万物一切のうちに包含されてあり、空中にも沢山に充実せり。また体素といふものありて単に水素ともいふ。火素水素相抱擁帰一して、精気なるもの宇宙に発生す。
 
 火素水素のもつとも完全に活用を始めて発生したるものなり。

 この精気より電子生れ、電子は発達して宇宙間に電気を発生し、一切の万物活動の原動力となるなり。 しかしてこの霊素を神界にては、高御産巣日神といひ、体素を神御産巣日神といふ。

 この霊体二素の神霊より、つひに今日の学者のいはゆる電気が発生し、宇宙に動、静、解、凝、引、弛、合、分の八力完成し、つひに大宇宙、小宇宙形成されたり」

 テスラは、この言霊の妙用を科学的に解明し実践した人物といえます。科学が宗教の神秘を証明したのです。

 「和良久がなぜセルビアに」という私の疑問は一気に氷解しました。そして、セルビア到着後に起こった滝のような稲妻の意味もやっと理解できました。


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