2015.01.19  

                 第138話 「スサノヲの呼吸」

 皆様には拙著「スサノヲの呼吸」をお読みいただきありがとうございます。

 スサノヲの呼吸とは何ですか?

 先般こんな質問を頂戴しました。

 私はこのようにお答えしました。

 

 スサノヲノミコトは、イザナギノミコトの鼻から生まれた神様です。

 鼻は息を取り入れる大切な部分です。
 人は鼻で息をして生きています。
 鼻はいわば命の元となるものです。

 また、ハナは端であり「岬の端」と言うように、尖端という意味もあります。

 このようにスサノヲは命の営みを司る神です。ことあれば先頭に立って人々の命を守ります。

 そしてスサノヲは月の神でもあります。

 太陽神アマテラスとは対照的に、夜の闇に静かに光を放つ影の守護者です。

 月は地球の息をコントロールして全土の生命を守っています。

 息は水と火の釣り合わせという意味を持ちます。よってこれを剱と言います。

 月は突きです。月の光は闇を突き抜く剱でもあるのです。

 スサノヲは最強の邪神ヤマタノオロチを剱をもって退治しました。

 剱は螺旋波動を放つ神器です。鋭角波動の代表格であるヤマタノオロチも螺旋波動にはかなわないということです。

 スサノヲは、スの神の息をもって祓いの働きをなすもの、という意味です。

 和良久はこの剱神スサノヲノミコトの呼吸を学ぶ武道です。

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 スサノヲの呼吸は、すなわち主神の力そのものです。

 主神の力とは「八力」です。

 八力を学ぶことは、同時に一霊四魂、すなわち主神の心をも学ぶことになります。

 コロコロと手の内で剱を転がすことにより(自転)、旋回(公転)が起こります。

 この自転と公転が織り成す繊細な螺旋運動こそが、スサノヲの呼吸です。

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 主神の命により、イザナギとイザナミがアマノヌホコをもって「シホ コホロコホロ」とかきなしたまいてオノコロジマ(自転島)を創られました。

 スサノヲの呼吸はイザナギ、イザナミのアマノヌホコの神事に由来します。

 私たち和良久の稽古人は、このスサノヲの呼吸をわが呼吸とし、コロコロと丸く転がるように命の尊厳を考え、話し、動くことが大切です。

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 スサノヲの呼吸は、極限の忍耐強さでもあります。

 人々の罪をわが罪として背負ったとて決して言い訳せぬ強さ。

 身に覚えのないことで迫害を受けても耐え忍ぶ強さ。

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 私たち和良久の稽古人は、スサノヲの呼吸を学ぶゆえ、ある時期スサノヲの追体験をすることがあります。

 かのイエスキリストも万民の罪を購うというスサノヲの追体験をされました。

 また出口王仁三郎聖師もスサノヲの呼吸をされたゆえ迫害に合われました。

 私たち凡人は、あのような強烈な追体験には耐え切れないことは神様もよくご存じなので少しの辛抱で凌がせて下さいます。

 それでも、わがままな私たちは不服を言います。申し訳ないことです。

 いままでも和良久は様々な試練を受けてきました。

 それを皆の力で何とか乗り越えてきました。

 今後も、内外から厳しい試練が起こることでしょうが、私はスサノヲの呼吸を学ぶと決めた日から覚悟は出来ているつもりです。

 ただ、それを稽古人の皆さんにも負わせるわけにはいきません。

 どうか、和良久を行うことによって思いもよらない所から耐え難い試練があったとしたら、どうぞ私に気兼ねせず稽古を放棄なさってください。

 そしてまた、波が引いて落ち着いた時、その時にまた稽古をしようと思うなら戻ってきてくださればよいと思います。

 私は、これからも、どこからどうつつかれても埃が出ぬよう綺麗な和良久でありたいと思っています。

 言われても言い返さない、やられてもやりかえさない。

 そんな強さをスサノヲ様から学びたいと思っています。

 いま疑念と憎悪に負けて、怒りを爆発させたらスサノヲ様に顔向け出来ません。

 今日も剱をコロコロと転がし、馬鹿みたいに笑って過ごすだけです。

 心に恩師たちの笑顔と勇姿が浮かびます。恩師たちのくれた心と技をきっと守ってみせます。

 なぜスサノヲの呼吸を守らねばならないか、それはやがてこの技が世界を変えることを知っているからです。

 その日、その時まで、何度生まれ変わってもスサノヲの呼吸をし続けたいと思います。




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