2013.11.25    

第6章 アンガー(怒り)マネージメント

ガンという言葉を聞いたら、死と同じように、全くいいイメージは浮かばないだろう。ガンは死の病だ、とされているから、医師にガンと宣告されたら、それこそ、ガーンと頭を撃たれたようなショックを受けるに違いない。世の中のガンというのは、世の中の諸悪の根源、世の中を悪くする元凶という意味だ。

どの社会でも、その社会に危害を及ぼす人が必ずいるものだ。普段、こういう諸悪の根源は少数派で、うまく抑え込んでいれば、社会全体が崩れるほどの害にはならない。ある意味、共存している。ところが、この抑え込みがうまくいかず、”世の中のガン”の数が増えて暴徒化すれば、社会全体の存在を脅かすかことにもなりかねない。

10兆個以上もある我々の体の細胞はほぼ常に、そのうちのいくつかが、ガン化していると言われている。その数は全体に比べたらごくわずかだが、我々の体のどこかに、だいたいいつでもガン細胞は存在する、ということになる。我々はこのガン化した細胞に対する防御網を持っていて、普段はうまく抑え込んでいる。ところが、一気にたくさんの細胞がガン化するか、防御網が弱まるか、何らかの形でガン細胞が防御網を突破し、大きな塊の腫瘍になると、肉体全体を脅かす存在となる。

全くいいところがなさそうなこのガンも、いざ死ぬことになったら、あるいは死にたいと願ったら、かなり強力な助っ人になりうる。死ぬ、ということが、肉体レベルの波動の世界から、もっと繊細な波動の世界へと移行することだとしたら、ガンはその移行を手助けすることになる。移行のときに、肉体の活動を止めるのを手助けするのがガンの役割だとしたら、諸悪の根源とは限らないわけだ。さらに、常に体のどこかにガン細胞がいるとしたら、ある意味、いざ死ぬときのための、肉体活動の停止を助ける手段がいつでも用意されている、と言えないこともないだろう。

死の兆候が菌を呼び込み、ガン細胞の増殖を促すとしたら、体が死に向かったら結核やガンにかかりやすくなるということだ。死にたい、と願ったとき、同じように結核やガンにかかったとしたら、この願いが続けば、そのまま死が訪れる可能性が高い。逆に、死にたいという願いが消えれば、結核やガンを支える要因もなくなり、体は回復に向かうかもしれない。

細胞をガン化する元凶とされているフリーラジカルも微生物も外的な要因だ。我々が環境からこれらの外的要因を完全に消し去ることはできない。できることは、食事内容を改善する、免疫を鍛えて防御網を強化するとか、リラックスできる環境を少しでも増やしてストレスを軽減するとかなど、外的な要因の影響をなるべく少なくすることだ。

これに対し、死にたいと思うのは内的要因だ。外的要因とは違って、内的要因は自分の力で消し去ることができるかもしれない。では、死にたいと思う以外にもガンにかかる内的要因があるのだろうか。この内的要因で、宗教家や、病気の元は精神にある、と説く人たちがよく指摘するのは怒りだ。医師や栄養学者の中にも、ガンになりやすい性格のひとつは、怒りを抑えつけるために、怒りが内面にくすぶり続けることだ、と指摘する人もいる(<補足6-1>)。

生長の家の創設者、谷口雅春などの話を総合して、怒りがどのように腫瘍の形で現れるか、その仕組みを解明してみよう。谷口雅春によると、日本語の怒(おこ)るの語源は、緒(お)が凝(こ)る。緒はひもで、ひもをきつく結んだりすると、そこが筋肉が凝ったように固くなる、という意味だ。ガンは、しこり、つまり腫瘍が岩のように固いので、日本では明治時代のころ、岩(がん)と呼ばれていたようだ。怒ったら、その怒りは緒が凝る、つまり固いしこりの形として現れる。最初にその形が現れるのは、霊体だ。

霊体は、神道やルドルフ•シュタイナーが指摘する、我々が持つ4つの体のうちの1つで、シュタイナーはこれを“私”と呼んだ。この霊体には、我々の心の動きが、即座に、そのまま形として現れる。霊体が最も繊細な波動でできているから、怒りが始まったと同時にこの緒が凝る形、つまりしこりが現れ、静まったと同時に、そのしこりは消える。怒りが増幅すると、全く同じようにしこりも膨れ、怒りがしぼむのと同時にしこりもしぼむ。

この緒が凝る形のしこりは、次に幽体(シュタイナーの言うアストラル体)に現れる。幽体の波動は霊体ほど繊細で、敏感ではないので、このしこりは霊体に比べて少し遅れて現れる。復体(エーテル体)、肉体と繊細ではなく、荒い波動の体になるにつれ、この遅れが大きくなる。霊体ではしこりが、心の中の怒りの進行と全く平行して小刻みに現れるが、幽体、復体、肉体と波動が荒くなるにつれ、現れるタイミングがおおざっぱになる。

また、霊体が一番ぼーっとしていて柔らかく、肉体が一番固くて形がしっかりしているのにつられ、現れるしこりも、肉体レベルが一番形がはっきりしていて、固い。

いくら怒りっぽい人でも、ずーっと怒っているわけではない。怒っていないときは、緒が凝る形のしこりも消える。問題は、頻繁に怒ったり、感情を押し込めて、怒りがくすぶったまま持続したりする場合だ。怒ってばかりいる人の霊体は、しこりが出たり、引っ込んだりを頻繁に繰り返す。これが肉体では、しこりはずっと現れたままになる。

怒ってばかりいる人の怒りが、霊体の段階ではしこりの形で頻繁に出たり、引っ込んだりするのに、肉体のレベルでは出っぱなしになる仕組みを説明しよう。家にある電球は、流れている電気が交流なので、実は光がついたり消えたりしている。この光の点滅のスピードはものすごく早くて、我々の肉体の目ではついていけない。さらに、光ったときの残像が残るので、瞬間的に消えているときでも、点いているように見える。つまり、実際は点滅している光が、ずっと点いているように見える。これと同じで、霊体のレベルでは頻繁に出たり引っ込んだりするしこりは、肉体レベルでは出たままになる。これが、怒りが腫瘍として現れるメカニズム、というわけだ。

腫瘍には良性と悪性があり、良性腫瘍は肥大して生命を脅かす、ということはまずない。ガンは悪性腫瘍のことで、どんどんと膨らんで周りを浸食し、そのままいくと肉体の生存を脅かす。腫瘍は怒りが形になって肉体に現れたものだとすれば、膨らみ続ける悪性腫瘍は、怒りがだんだんと増幅している、ということだろうか。

この話も、サイキック五感を持っていない我々には、本当かどうか確認する方法がない。しかし、我々の五感が捉えているのはすべて波動だ。波動を出しているもの、つまり波動の元が何かは分かっていないが、最先端の物理学、量子物理学が研究している対象は、この波動だ(<補足6-2>)。

谷口雅春やシュタイナーの説明は、ウォルター•ラッセルが提唱した理論 (<補足6-3>) を元に、肉体などの物理的な現象を波動として捉えると、実によく、つじつまが合う。技術が進んで、通常の五感では捉えられない、肉体レベルを超えた波動を捉えることができるようになれば、シュタイナーの言う4つの体、怒りが肉体のレベルでは腫瘍となって現れるということが、証明できるかもしれない。

いずれにせよ、だんだんと膨らんでいく、あるいは恒常的に続く怒りがガンの一大原因だったら、ずっと続く、あるいは頻繁に出てくる怒りをうまくマネージメントできれば、ガンの治癒や予防に役立つはずだ。しかし、物事はそう簡単ではなさそうだ。

怒りがガンの一大原因だったら、始終怒ってばかりいる人、怒りを素直に出さずに内側でずっとくすぶり続けさせている人は、ほぼ全員ガンにかかっていそうだ。この手の本格的な研究、調査があまりないので、はっきりしたことは分からないが、怒ってばかりいる、あるいは怒りをため続けていても、ガンにかからない人もたくさんいるだろう。

それに、怒りだけでは、ここ50年間のガン患者の世界的な急増は説明できそうにない。死にたい人が増え、怒っている人も増えたかもしれないが、そんなに急に増えたとは思えない。怒りがガンと関係あるにしても、要素の一つにはなるかもしれないが、決定的なガンの発生原因とは言えそうもない。

 

<補足6-1>
この性格は、伝統的性格のタイプCと分類されている。

<補足6-2>
波動の元が何であるかという説は、スーパー•ストリング理論などたくさんあるが、どれも証明されていない。

<補足6-3>
ウォルター•ラッセル(Walter Russell)の哲学、科学理論は彼の著書に詳しく紹介されている。「The Universal One」、「The Secret of Light」、「The Message of the Divine Iliad」などで、出版はどれも、The University of Science and Philosophy。

 

 

志あるリー ダーのための「寺子屋」塾トップページへ