2013.12.10    

第7章 薬を止めると病気は治る?

あなたは怒ってばかりいるけど、何とかならないのか、と言われても、怒りをうまく処理するのはそう簡単ではないだろう。しかし、これがガンの予防や治療に役立つとしたら、アンガー•マネージメントをかなり真剣に考えなければいけないかもしれない。

怒りが厄介なのは、抑えようとすると、逆に膨らんだりする。うまく抑えつけたように見えても、内面にくすぶって、いつまでも残っているからだ。抑えるのは、どうもうまい手ではなさそうだ。そうすると、怒りをどううまく出すか、ということがアンガー•マネージメントのポイントになるのだろうか。ともかく一番いいのは、怒りの本当の原因を突き止めることで、もし原因が分かったら、できればそれを解消することだろう。

さて、不健康の象徴は病気だが、その病気にかかりやすくなる要素として、フリーラジカル、結核菌やバクテリアといった微生物など様々な外的要因があげられている。しかしフリーラジカルや菌は、誰の周りにも億、兆という単位で、ほぼ無数にいるはずだから、誰でも条件はほぼ同じだ。ストレスの少ない人は体内のフリーラジカルの発生も少なくて、ストレスが多いとフリーラジカルの発生が増える、と言っても、それは例えば、12億個が15億個になる、という程度で、3億個の差は大きいと言えば大きいけれど、ガンなどの病気にかかる原因として、はたしてこの差は決定的だろうか。

では、病気にかかる要素として、このストレスとも関係ありそうな内的要因はどうだろう。死ぬことになったとき、あるいは死にたいと本気で思ったとき、体は死に向かうかもしれない。菌やガン細胞が死のプロセスを手助けする役割を持っているとしたら、死に向かって突き進んだら病気にかかりやすいかもしれない。また、怒りといった感情が肉体にしこりの形で現れるとしたら、それに追随するように腫瘍が形成されるかもしれない。これらをすべて認めたとしても、世の中には怒りをためている人、死にたいと思っている人はいくらでもいるだろう。この人たちは全員、ガンにかかっているのだろうか。

病気にかからなければ健康か、とは必ずしも言えないかもしれないが、少なくとも病気にばかりかかっている人を健康とは思えないだろう。だから、病気にかからない、あるいはかかりにくいというのは、健康の一つの目安だ。その、病気にかかるのとかからないのを分ける、決定的な要因があるのだろうか。あるとしたら、それは何だろうか。

今から40年から50年ほど前、私が子供の頃、子供たちは外を駆け回っていた。それこそ真夏のかんかん照りの日でも紫外線は浴びたい放題で、小麦色の肌が健康の証明のようだった。それは、子供だけでなく、大人だって小麦色の人はたくさんいた。そのころ、皮膚ガンにかかったなんて、年配の人でさえ、少なくとも私の知る限り聞いたことがなかった。

その後、皮膚ガンの一大原因は紫外線だと医師や研究者が言い始めるようになり、様々な薬(抗ガン剤など)が開発され、外出するときは多くの人が日焼け止めクリームを肌に塗るようになった。今、日本では、多くの女性が外出するときに日傘をかざしてまで、日光を浴びないようにしている。ところが、国立がん研究センターの調べによると、日本で皮膚ガンにかかった人の数は、1975年には年間1805人だったのが年々増え続け、33年後の2008年には年間約1万4127人と7.8倍に膨れ上がっている。

毎年、夏の終わりころに米国ロサンゼルスで代替療法のコンベンション(<補足7-1>)があり、もう40年も続いている。代替療法の医師や研究者が集まって、研究成果や医療の実績を発表し合うのだが、そこで特に最近、医師や研究者がよく指摘するのは、太陽光線を十分に浴びないことによる健康障害だ。

紫外線はフリーラジカルを活性化するので、活気づいたフリーラジカルによって細胞が傷つけられ、ガンの原因になる、というのが有力な皮膚ガン発生説だ。すっかり悪者にされてしまった紫外線だが、我々の体はこの紫外線がないとビタミンDを製造できない。ビタミンDは他のビタミンと同様に非常に貴重であるとされ、体内の様々な機能に不可欠なので、ホルモンに分類されることがあるくらいだ。どのくらいの紫外線を浴びるのが適当か、十分なビタミンDの量はどのくらいかは、人によってもまちまちだし、専門家の見解も大きく割れてしまうが、ともかくビタミンD不足は体にとって大きなダメージだ。

そもそも、地球に降り注ぐ太陽光線の量が、今よりほんのわずかでも減った状態がずっと続けば、温暖化どころか地球冷却化が起こる。この太陽光線の減量が度をすぎると、本格的な氷河期が訪れ、生命活動は困難になる。それこそ、”死の世界”が訪れるかもしれない。これほど我々の肉体の生命活動にとって極めて重要な太陽光線でさえ、皮膚ガンをもたらすなど、場合によっては我々に危害を加える”両刃の剣”なのだろうか。

皮膚や体内のフリーラジカルを活性化するから避けろと言われている紫外線とは反対に、医師のところに行って病気だと診断されると、飲むように、または注射や点滴で摂取するように勧められるのは薬だ。ガンの薬を開発するために、日本の一カ国だけで、どこかの国の年間予算を軽く超える金額が毎年投入されている。

私は子供のころから、30歳を少し越えて“不思議な体験”をして突然健康になるまで、毎年だいたい3、4回は風邪をひいていた。風邪をひくと必ず、最初はのどがイガイガして鼻水が出て、そのうちのどが痛みだして鼻がつまり、さらに進むと頭痛に発熱、具合いが悪くなって3日は寝込むという、ほとんど同じパターンを繰り返していた。

それを、20歳を越えてしばらくたったある日、風邪をひき始めたとき、医師のところに行くのが面倒になったのか、理由ははっきり憶えてないのだけれど、薬を全く飲まなかったことがあった。にもかかわらず、のどのイガイガから始まって結局は3日間寝込む、といういつものパターンは全く同じだった。具合いの悪さも全く変わらず、「なあんだ、薬を飲まなくても同じだ」と思った私はその後、風邪をひいても薬を飲むことを止めた。

その後も、年に3、4回ひいて、3日は寝込むというパターンは全くいつも通りで、良くもならなかったが、悪くもならなかった。そして全く健康になって、滅多に風邪をひかなくなってから、薬を飲む機会さえなくなった。

サミュエル•ハーネマン医師によって、19世紀半ばのドイツで開発された「ホメオパシー」と呼ばれる療法は、ヨーロッパやアメリカで瞬く間に広がった。しかし、特にアメリカでは、これによって自分のビジネスを奪われると恐れをなした当時の医学•薬学会の陰謀で、ほぼ壊滅させられた(<補足7-2>)。ただ今でもアメリカやヨーロッパの健康食品店に行くと、広くはないけれど、ホメオパシーの商品が置かれて、売られている棚を見かける。細々とは続いているわけだ。

ホメオパシーは例えば、風邪に処方する場合、まず、たまねぎから抽出したアリウム•セパという成分を、ある特殊な方法で水などの液体に転写する。調理でタマネギを細かく切ると、涙や鼻水が出るが、これは風邪の症状に近い。水に転写したアリウム•セパを飲むことによって、風邪の症状を加速させ、早く風邪を治してしまおう、という考え方だ。

つまり、鼻水などの症状は、体内に侵入してくる菌、あるいは免疫に倒された菌の残骸を追い出そうとする体の正常な機能だから、これを後押ししようというわけだ。これに対し、今の医療•薬学会で開発される薬は、菌を殺す、症状を抑える、体内の酵素の活動を止めるなど、活動を止める、あるいは抑えることを目的としたものが圧倒的に多い。かつては、この人工の薬を水に転写するホメオパシーもあったようだが、今の健康食品店で売られているのは、症状の促進が主流だ。

ホメオパシーの製造方法は、ガラスの容器に入れたアリウム•セパなどの成分や薬を、水などの液体で2倍に薄め、この容器を軽く何回かたたいてゆする。そしてこの半分を捨て、残り半分をまた同じ液体で2倍に薄めて、軽くたたく。このプロセスを何回か繰り返す。繰り返すごとに成分は薄まるはずだが、逆に効果は高くなる。

ルドルフ•シュタイナーはホメオパシーの原理を波動で説明している。物質の根本は波動であり、液体で薄め、たたいてゆすることによって、症状を促進する成分の波動が細かくなる。要するに、肉体レベルの波動が、薄めてたたくごとに、次第にエーテル体レベル(神道で言うと復体レベル)のより繊細な波動に転換していく、ということだ。だから、ホメオパシーはエーテル体に直接働く。

症状は肉体に出る前に、このエーテル体に出る。さらに、波動が肉体レベルより繊細なエーテル体レベルでは、肉体より敏感に反応するから、効き目が高い。つまり、ホメオパシーは通常の成分や薬に比べて、効果はより早くて高い、というわけだ(<補足7-3>)。

ともかくホメオパシーの主流は、体は病気を治す機能を持っている、という発想に基づいている。その機能を後押しすることによって病気に対応しよう、ということだ。元新潟大学大学院医学部教授の安保徹医学博士も、病気の症状は治癒のプロセスだ、と論じている。

免疫学が専門の安保博士によると、症状を抑える薬品によって、治癒のプロセスが阻害され、逆に病気が長引く。さらに薬品の長期使用が自律神経を刺激し続けることによって、免疫細胞の一つ、顆粒球が過剰に生産される状況が長く続き、それによって体が傷められる。薬品の長期使用が逆に様々な病気を引き起こす、というわけだ(<補足7-4>)。
谷口雅春の考えは、これよりさらに一歩踏み込んでいる。「常に生活が衛生法にかない、医者よ薬よと言っている家庭には病気が絶えないのであります」(<補足7-5>)。つまり、薬を飲むのは、自分の体の力を信頼していない証拠だ。自分の体では十分に病気に対抗できない、と思っているから薬に頼ることになる。薬に頼れば頼るほど、体では病気に対抗できない、という意識が強くなる。最初から負けると思っている勝負は、まず勝てない。それと同じように、体では対抗できないと思っていたら、体ではその病気に負けてしまう、ということだ。

シュタイナーも安保博士も、谷口雅春も、薬を全面的に否定しているわけでは決してない。例えば菌や毒が体内に入って、これは危険だというときなど、薬が必要なときはいくらでもあるだろう。しかし、風邪でも何でも薬で治そう、あるいは薬を飲まなくてはならない、という考えは、健康になること、あるいは健康であることを逆に阻害することにならないか、と指摘しているだけだ。薬が体を健康にするわけではないだろう。

さらに谷口雅春は、こう言っている。「こうしたら不衛生ではあるまいか、こうしたら病気になりはしないだろうかというような、本来”病気”が存在するということをあらかじめ信じておいて、それを避ける方法ばかりを考えている人間の発想の波動の中に住むから病気になるのであります」(<補足7-5>)。

<補足7-1>医師のところでガンだと診断されると、通常は抗ガン剤、放射線、手術のどれか、あるいはこれらを組み合わせて治療が施される。このいわゆる通常療法(Conventional Medicines)は、特にガンが進行した第3期、末期にはあまり効果があがらないうえに、抗ガン剤と放射線は体に大きなダメージを与えるため激しい副作用を伴う場合が多い。これに対し、免疫など体のガンに対抗する機能を強化したり、ガンに対抗する自然の物質(副作用が少ない)を使うなどの様々な療法があり、通常療法に対抗して代替療法(Alternative Medicines)と呼ばれている。この代替療法のコンベンションがCancer Control Society(会長Frank Cousineur)という団体によって毎年、ロサンゼルスで開催されている。第1回が1973年。2013年が第41回目。

<補足7-2>ホメオパシーとその歴史は様々な本で紹介されている。例えば、Richard Gerber著「A Practical Guide to Vibrational Medicine」(William Morrow Paperbacks出版)。

<補足7-3>詳しくはRudolf Steiner著「Introducing Anthroposophical Medicine」参照。

<補足7-4>詳しくは、安保徹医学博士著「薬をやめると病気は治る」(マキノ出版社出版)参照。

<補足7-5>谷口雅春著「生命の實相第1巻」(日本教文社出版)より。

 

 

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