2015.09.07    

第18章―7 隠蔽(いんぺい)されたガン治療法の数々 番外編

先日まで日本に一ヶ月半ほども滞在し、メキキ19周年の式典にも参加させていただいて、たくさんの素晴らしい方々と知り合いになる(気脈をつなぐ)ことができるなど、大変よい思いをさせていただきました。ところが、出口光メキキの会代表にわざわざ、内海聡医学博士など、主流の医学・薬品業界に大きな疑問を抱いて活動していらっしゃる方々を直接ご紹介していただけるはずだったのが、私の頓馬な勘違いでその大切な機会を逃し、悔しいやら申し訳ないやらで、よい思いは半減してしまいました。

内海博士は自らキチガイ医と名乗り、医学・薬品業界、医療のあり方、薬品の使い方、患者やその家族の姿勢などをことごとく非難し、医学界などからは目の敵にされているようですが、フェースブックのフォロワー(追随者)が何万人もいて、多くの人たちから強く支持されてもいるようです。興味のある方は、内海博士の書いた「医学不要論」などを読まれたらいいと思います。内海博士の論調は過激かもしれませんが、私はかなりもっともだ、と思っています。

そこで今回は、私が日本語への翻訳の監修をしている本「Alternative Medicine - Definitive Guide to Cancer Therapy」に、監修者補足として書いたコメントが、内海博士の論調と少し似ていますので、それを寺子屋塾向けに少しだけ書き換えてご紹介させていただきたいと思います。ガン治療を側面から助ける補助的な化合物についてのコメントですが、後半はそれを迫害している医学界について一言(以上?)述べています。

硫酸ヒドラジン(Hydrazine Sulfate)

硫酸ヒドラジンは肝臓で、乳酸(lactic Acid)をブドウ糖に変換する酵素(Phosphoenolpyruvate Carboxykinase)の働きを阻害します。これによって、余分なブドウ糖が、ガン細胞に供給されるのを妨げ、腫瘍の増殖にブレーキをかけるほか、乳酸をブドウ糖に変換するのに必要なエネルギーを節約できて体の負担が軽くなるため、ガンと格闘する余力が生まれます。

ガン細胞はエネルギー生産の効率が悪いうえに、エネルギー源を大きくブドウ糖に依存しているため、通常細胞に比べて非常に多くのブドウ糖が必要です(ガン細胞がエネルギー生産をすべて発酵方式に頼っているとすれば、同じエネルギーを生産するのに、通常細胞の18倍ものブドウ糖が必要)。また、ガン細胞が採用している発酵方式のエネルギー生産は、廃棄物(代謝産物)として乳酸を大量に生み出します。

廃棄された乳酸は肝臓に運び込まれ、酵素によってブドウ糖に変換されます。乳酸は強い酸なので、変換して酸性度を和らげるのは体にとって必要なことなのですが、この変換に多くのエネルギーを消耗します。特にガンが進行している(第3期、4期)場合は、それでなくとも体(免疫)が弱っていますので、乳酸の変換にエネルギーを消費していては体(免疫)に、ガンと格闘する余力がなかなか生じません。この時期に体重が極端に減少するひとつの大きな理由は、このエネルギーの浪費である、と考えられています。

さらに、乳酸から変換されたブドウ糖は主に、大量のブドウ糖を必要とするガンに吸収されてしまいますから、その分、ガンを活気づけているようなものです。ガンのエネルギー廃棄物の乳酸が肝臓でブドウ糖に変換されればされるほど、体は衰弱してガンと闘う力が削がれるうえに、その分ガンが活気づくという悪循環が生まれます。この変換を仲立ちする酵素の働きを阻害することによって、この悪循環を断ち切り、ガンの増長に歯止めをかけるのが、硫酸ヒドラジンの役割です。

1960年代に、乳酸をブドウ糖に変換する酵素の働きを止めて悪循環を断ち切る研究をしていたジョセフ・ゴールド(Joseph Gold)博士は、この酵素の働きを硫酸ヒドラジンが止めることを突き止め、1974年に公表しました。これに関する記事が20年後に雑誌「ペントハウス」に掲載され、それを読んだキャシー・キートン(Kathryn Keeton、ペントハウスの創設者の妻で、その発行社の社長を務めたこともある)が自分の乳ガンに硫酸ヒドラジンを試しました。

ガンがほかの場所にも転移し(おそらく末期乳ガン)、医師から余命1ヶ月半と宣告されていたキャシー・キートンは回復し、代替療法を支持するゲイリー・ヌル(Gary Null)博士らと一緒に、ガンに有効な治療法をわざと隠していると、政府組織のNCI(米国ガン研究所)を公然と強烈に非難しました。この非難合戦は訴訟に発展しそうになりましたが、キャシー・キートンが腸の詰まり(おそらくガンが原因)を取り除く手術が失敗して1997年に死去したため打ち切られました。

非難されたNCIは、硫酸ヒドラジンのガンに対する決定的な効果は全く認められない、という研究結果を公表しました。しかし、硫酸ヒドラジン単独では、効果が限定的なのは、科学者でも医師でもない素人の私から見ても当たり前です。自然な療法を使ってガン治療をしている医師の中で、乳酸がブドウ糖に変換されるのを止めただけでガンが治ると考える医師はおそらく一人もいません。NCI、FDA(米国食品医薬品局)などの政府組織、AMA(米国医療協会)は、いつもこうして非常に馬鹿げた方法で様々なガンの治療法(抗ガン剤、放射線以外)を否定、迫害してきました。

ガン治療に硫酸ヒドラジンがうまく効果を発揮するには、どうしたらいいでしうか。ともかく、せっかく乳酸がブドウ糖に変換されるのを食い止めて、ガンへの糖の供給を絞っているのですから、食事で大量の糖分を摂取していたのではほとんど意味がありません。また、体は糖分が不足すると、グルタミン酸など一部のアミノ酸をブドウ糖に変換する(糖新生と呼ばれます)こともできます。これによって作られた糖の多くもガンに吸収されるうえ、この糖新生でもエネルギーが浪費します。

一番いいのはおそらく、体(通常の細胞)が糖にあまり依存しない代謝をすることです。これでよく知られているのはケトン食(Ketogenic Diet)で、糖分が多い食品を大幅に減らし、脂肪分を増やして、主要なエネルギー源を脂肪と、脂肪が変換されてできるケトン体に切り替える食事法です。体が糖にあまり依存しない代謝になり(そうなると、糖新生も減ると思われます)、糖分の摂取を大幅に削ることができたら、糖分に頼るガンにとっては一大事です。

通常細胞は普通、ブドウ糖、脂肪、ケトン体のすべてをエネルギー源にできるのに対し、ガン細胞がエネルギー生産を発酵方式にばかり依存しているとしたら、脂肪もケトン体もエネルギー源にできません。糖分を大きく減らしておいて、さらに硫酸ヒドラジンを投入して乳酸のブドウ糖への変換も止めてしまえば、ガンのエネルギー源はいよいよ乏しくなり、衰弱するほかなさそうです。

ただ、史上空前の糖分大量摂取に慣れきってしまった私たちの体を、ケトン食に切り替えるのは、そんなに簡単ではありません。日本で白澤卓次医学博士(順天堂大学大学院医学研究科客員教授)が提唱しているのは、ケトン体に比較的変換されやすい中鎖脂肪酸が豊富なココナッツオイルを多く摂取し、糖分の摂取を極力減らす方法ですが、甘いものに対するものすごく強い欲求が頻繁に起こるうえに(麻薬の禁断症状のような)、一時的には低血糖になりますから、この非常に苦しい時期を乗り越えられるかが鍵となります。

中鎖脂肪酸を中心にすれば、長鎖脂肪酸を多く含む動物系脂肪を摂取するよりも、スムーズにケトン食への切り替えが進むようです。さらに、長距離の早歩きやサイクリングなど、ある程度長い時間の持久的な運動をうまく組み合わせると、ケトン食への切り替えはさらに容易になるようです。

ケトン食はもともと、てんかんの治療に用いられてきました。脂肪とケトン体を主に代謝し、糖分の摂取を大幅に減らすことができれば、てんかんばかりでなく、ガンなどの生活習慣病、特に糖尿病の治療に大きな効果が期待できそうです。

また、脳の細胞は脂肪をエネルギー源にできませんので、脳のエネルギー源は糖分だから糖分は欠かせない、と言う人がいますが、ケトン体もエネルギー源になります。認知症やアルツハイマーなどは脳細胞の機能低下だと考えられていますが、機能低下の大きな理由の一つは、脳細胞の糖分の代謝回路が閉ざされているためで、代謝回路が糖とは別なケトン体を供給すれば、脳細胞が復活して認知症などの治療に道が開かれる、と白澤卓次博士らは主張しています。

このケトン食以外にも、ガンを抑えるのに有効な食事法や、栄養素療法、自然療法(ナチュロパシー)には様々なやり方があり、いずれにせよ、硫酸ヒドラジンで乳酸がブドウ糖に変換されるのを止めるのは、これら様々なガン治療の大きな手助けとなるのは間違いなさそうです。

ところが、糖分を極力控える、酸性食品は避ける、といった食事指導をしないで、硫酸ヒドラジンをいくら投入しても、あまり効果がないのは当たり前です。それどころか、食事の糖分を減らさないで硫酸ヒドラジンを投入したら、非常にまずいことになります。大量の糖分をガン細胞がエネルギーに変換することによって大量の乳酸が生み出され、それが肝臓でブドウ糖に変換されるのを硫酸ヒドラジンが止めてしまったら、肝臓に乳酸が大量にたまってしまいます。末期ガンで弱っている体にそんなことをしたら、へたをすると致命的です。

こうした知識を基にしないで、硫酸ヒドラジンを単独で試して、効果がないと言っているようでは、ガン治療は進歩しないでしょうが、実際、この100年くらい、主流の医学界がやっているガン治療が進歩しているようには全く見えません。ガン患者は増える一方で、ガンで亡くなる人の数も上昇をずっと続けています。

10年ほど前に、イギリスの医学雑誌に載った調査研究によれば、抗ガン剤治療によって5年以上生き延びた末期ガン患者はアメリカ合衆国で2.3%、オーストラリアで2.7%でした(アメリカはNCIが公表しているデータに基づいています)。末期になると体のいろいろな場所にガンが転移しているため放射線や手術による治療ができず、抗ガン剤、放射線、手術の三つの方法に大きく依存するアメリカの主流の医学界では、末期になると抗ガン剤に頼るしかほとんど手がなくなるわけです。つまり、主流の医学界に治療を任すと、末期ガンでは97%以上が5年以内には亡くなる、率直に言えば、アメリカの主流の医学界の方法では末期ガンはほとんど助からない、ということです。

おまけにアメリカの主流の医学界は末期ガンの人に、余命はあと何ヶ月、ということを伝えます。これは、抗ガン剤を使った場合の余命で、率直に言えば、統計的には抗ガン剤では何ヶ月後にあなたは死にますよ、ということです。さらに、もしここで患者さんが抗ガン剤の治療を拒絶しようものならアメリカでは多くの場合、主流の医学界のお医者さんたちは、抗ガン剤を使わなければもっと早く死にますよ、というような脅しをかけます。

末期ガンの抗ガン剤は強力(毒性が強い)で非常に高額ですから、これを拒絶されたらせっかくの高収入を逃してしまう、という焦りからか、それとも本当にそうだと信じ込んでいるのか。この死刑宣告によって、多くの人がものすごく大きなショックを受けると思われます。そのショックだけでも相当に寿命が縮まりそうです。

アメリカのカリフォルニアから南に国境を越えたすぐのところにあるメキシコのティワナでは、20ほどの病院やクリニックが、アメリカの主流の医学界が無視している(あるいは知らない)様々な手法を使ってガン治療をし、末期ガンさえも主流の医学界より治癒率はずっと高い、と主張しています。ここには、アメリカなどで抗ガン剤や放射線の治療を受けたのにガンが末期まで進行した人たちが、国境を越えてやってくるわけですが、抗ガン剤、放射線を受けていなかったら、治る確率はもっと高い、とティワナの医師たちは訴えています。これらの病院やクリニックは、主にアメリカからくる患者で大盛況です。

アメリカの主流の医学界は、ガンの治癒率は高まった、と宣言していますが、これは診察技術が上がってガンの早期発見が増え、初期だとはるかに治療は成功しやすいですから、その分治癒率が高まっただけで、主流のガンを治す手法自体(抗ガン剤と放射線)はほとんど全く進歩していない、としか私には思えません。それが、末期ガンの5年生存率が2%程度だという統計によく現れています。

私は、主流のガン治療を受けたのにもかかわらず末期ガンにまで進行し、余命何ヶ月と宣告され、死ぬのを覚悟して治療を止めてしまったら、ガンが治ってしまったという人を個人的に二人知っています。うち一人はメキキの会代表の出口光さんで、先日お会いしたときに確認したら、覚悟した後は全くガンの治療は受けられなかったそうですが、お二人とも、末期ガンの宣告を受けてから少なくとも20年は生きてらっしゃいます。

私の直接の知り合いで末期ガンにかかった人は、8人くらいです。うち二人は、今ご紹介した出口さんともう一人、末期ガンと診断されてから抗ガン剤治療を止めて、ガンがすっかり治りました。別の一人は末期ガンと診断されたときに、抗ガン剤と放射線を止めて、解毒と自然療法に切り替えたらガンが消えたという人で、抗ガン剤を止めてからの生存期間は今のところ8年です。もう四人(おそらく末期ガン)は1年以内に亡くなりました。さらにもう一人は、末期ガンと宣告されてから1年以内で、現在格闘中です。

ともかく、抗ガン剤では末期ガンが助かる見込みは3%以下、つまり100人に2人か3人なのに対し、何もしないで助かった人は私の個人統計では10人以下で2人。要するに、抗ガン剤治療より何もしない方が治る見込みが高そうだ、もっと言うと抗ガン剤より何もしない方がマシなのでは、ということです。

とは言え、治療を中断して亡くなる方も実際はたくさんいらっしゃるでしょうし、このシリーズで紹介している自然な治療法で100%治る保証があるわけでも全くありません。それより重要なのは、硫酸ヒドラジンなど新しく登場する治療法をことごとく迫害する一方で、末期ガンを治せる見込みがほとんどないことが統計的に証明されている抗ガン剤を、これが一番の方法だと言い張る厚顔無恥な、あるいは単なる無知な、もしかしたら高収入に目がくらんだ主流の医学・薬品業界にばかり頼っていないで、内海博士が主張するように、私たちはもういい加減に目を覚まさないと、ということです。
(続く、次回はガンを攻撃する化合物、治療法に戻りたいと思います)

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