2015.12.08    

第18章―9 隠蔽(いんぺい)されたガン治療法の数々 その8

(8) 免疫療法 − ワクチンでガンを撃退する

メキシコ・ティワナのジェロニモ・ルビオ(Geronimo Rubio)医学博士はもう30年くらい、ひたすら免疫療法を中心としてガン治療に取り組んできた免疫療法の第一人者です。免疫療法というのは、ワクチンによって有害な異物(菌やガンなど)への免疫の対応能力を向上させる治療法です。

これといった宣伝はほとんどやらず、主な顧客(患者さん)はアメリカ人だというのに、英語のウェブサイトも一応あるというだけで、それを見てもどんなクリニックか全く分からないという不完全な内容のウェブなのに、10ある入院室は、泊りがけで治療する人たちでほぼいつも満室。近所のホテルに泊まって通院治療を受けている人もいますから、クリニックは盛況なわけです。

手術、抗ガン剤、放射線を中心にしていないガン治療の病院、クリニックはティワナに20ほどあり、どれも宣伝なし(いくつかはウェブサイトはしっかりしています)で、ほぼ100%口コミで来る患者さんで成り立っています。さらに、アメリカでは正式に認められていない治療法ばかりですから、アメリカの医療保険が適用されず(おそらくどこのも適用されない)、割と高価な治療費(週あたり100万円以上)を自分で負担しなければなりません。ですから、ガンが治った、症状が改善したなどの治療効果がはっきりと現れないと、アメリカなどからわざわざやってくる人はそうはいないと思われます。

こうしたティワナの病院、クリニックで繁盛しているのはルビオ医学博士のところだけではないのですが、今ではこれらの病院やクリニックでも、ほとんどが免疫療法を採用するようになっています。これは、ルビオ博士が免疫療法で実績を積んだのが大きいと思われます。

免疫療法といっても、何種類かのワクチンがあるのですが、ルビオ博士のクリニック(The Rubio Cancer Center)で一番よくやっているワクチンを紹介します。これによって、免疫療法がどういうものか、見当がつくと思います。

まず、ガンを患っている人のガン細胞を採取し、ペトリ皿(シャーレ)の中で培養します。このペトリ皿の中にタンパク質消化酵素を入れ、ガンが自分の周りを覆っているタンパク質の膜を分解して、引き剥(は)がします。免疫は、細胞が悪性(ガン)であるかどうかを見極め、悪性であると判断した場合に、その細胞にT細胞やナチュラルキラー細胞を派遣して、撃退します。ガン腫瘍がタンパク質の膜で周りを覆っていると、ガンであることを見極めることが難しくなります。つまり、この膜はガンが免疫から身をかわす隠れ蓑(みの)の役割を果たします。

隠れ蓑を引き剥がされて丸裸にされたガンがいるペトリ皿に、今度は同じ人から採取したT細胞を投入します。T細胞の大きな役割のひとつは、ガンなど体に危害を及ぼす可能性がある異物を退治することですから、すぐに丸裸のガン細胞への攻撃を始めます。こうして1週間ほどガンを攻撃する訓練を受けたT細胞を、ワクチンとして、このガンを患った人の血液中に戻します。

1週間ほどT細胞を訓練している間に、この人にはタンパク質消化酵素をたっぷりとサプリメントで摂取してもらい、ガンのタンパク質防御膜を少しでも引き剥がしておきます。ガンを攻撃し続けた後に戻されたT細胞は、ガンがいると思っていますから、一目散にガンを探しに行きます。このガンがいるという情報はすぐに免疫全体で共有されますから、免疫は同じT細胞などの免疫細胞をせっせと生産します。こうして訓練を受けたT細胞が率いる免疫細胞の大群が次々とガンを攻撃する、という療法です。

ルビオ博士のクリニックは、こうしたT細胞ワクチンを作るラボを自前で持っています。免疫療法はアメリカでも全面的に禁じられているわけではなく、種類によって採用している病院は結構多いし、日本でも使っている病院は多くあると思います。料金が高いのが難点ですが、医療保険が適用になるかもしれません。
(次回に続く)

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