2007/11/12
第16話「ココロと身体のインナーエクササイズ」
前回、インナーマッスルの存在について少し触れました。そして、日常でも、目に見えない世界が、目に見える世界に影響を及ぼしている、という内容のことを書きました。インナーマッスルが、日常のさまざまなシーンで活躍していることを、もう少しつっこんでお伝えしたいと思います。
<インナーマッスルの効果>
例えば、最近は徐々に寒くなってきており、カゼが流行ってきていますが、くしゃみをするとき、お腹の内側ではインナーマッスルが働いています。トイレを我慢するとき、下腹部の深層部では、やはりインナーマッスルが働いています。満員電車に乗って、ゆられているときもインナーマッスルを使っていますし、つり革につかまっているときも、インナーマッスルを使っています。
前回もお話したとおり、インナーマッスルは身体の深層部にあり、外側にあるアウターマッスルのダイナミックな動作を安定させるために働いたり、くしゃみや嘔吐など、内臓の働きの補助に近い役割もあります。また、人間がこの地球上で生きる限り、重力を無視するわけにはいきませんが、バランスをとるため、姿勢の保持のためにも活躍しています。
最近の研究では、アウターマッスルとインナーマッスルのアンバランスによって、身体の歪みがおきている、とも言われています。インナーマッスルが弱くなると骨盤や頭蓋骨を支える力が弱まってしまうので、腰のある局部に極度の重みが加わってしまい腰痛になったりします。また、肩や首の決まった部位に頭の重みがのって凝りの原因になったりするのです。
このインナーマッスルを鍛えることは、腰の痛みや首肩の凝りを改善することができることを意味しているのです。これは、アンチエイジングにとってうれしいニュースではないしょうか?
<志と影響力>
このように、日常の世界だけではなく、身体の中でも、目にみえないインナーマッスルと目にみえるアウターマッスルとは互いに関係しあって、動作がとり行われているのです。
きっと、どんな世界にも外と内、表と裏、陽と陰・・・、表現は色々でしょうが、相反する二つが同居しているものなのでしょう。
相反する二つ、という事で言えば、この「志のためのリッチエイジング」でも何度も出てくる「志」。そしてその反対語を「地位・名声」とした場合、ある素敵なクライアントのエピソードをお伝えしたくなります。
その方は、世間では有名な俳優で、国民的な人気者の役者さんです。創るドラマは人々の共感を呼び、多くの日本人の心を代弁してくれるかのように役を演じます。彼には充分な徳があり、影響力があります。
そんな方にストレッチをしていたときのことです。
「最近、ロケで何時間も夜の街にたっているせいか、身体が硬直しているんだよ」
とおっしゃいました。
「なんで俺はこんなことをやっているのかな・・・」
とおっしゃるので、すかさず
「でも、お客様の演じるドラマをみて、私はかなり影響をうけてきました、社会にでることに期待や夢をもらいました。そんなひと、この日本にたくさんいるはずです」
というと、
「う〜ん・・・」
と実感がない様子でしたので、
「そうは、思われませんか?」
と聞くと、
「一人だけ、影響を与えたい人がいるんだよ。」
といって少し間をおいて
「その人は、とっても遠い所にいるんだ。それにすごくキレイな人なんだ。・・・・・その人に会えなくてもいいんだ、ただ、時々気にかけてくれて、俺のやっていることを見てくれたら・・・。その人に影響を与えたいなぁ」
と、おっしゃいました。
私は話の途中で、そのキレイな人は実在しない人で、クライアントである俳優が創り上げた架空の人だということがわかりました。
もはや、そのお客様には、自分自身が「よし」と言える仕事をするには、憧れる人を創り上げて、心に据えておかなければ、高い品質の作品が残せないのでしょう。さらに深く考えて見れば、この俳優は「高次の目」つまり「神の目」を意識しているのではないでしょうか。ただ視聴者が喜ぶだけでは満足ではないのです。
言い方を変えれば、志すということの奥深さを知っているがゆえに、ただただ、そこに向き合って、高次の目を意識することで、誠実に全うしようとしているだけなのでしょう。それを世間が評価したり影響を与えたりするのは二次的な出来事で、本来はどうでもいいことなのかもしれません。彼自身の「遠くにいるキレイなひと」に影響を与えられたら、それが彼にとっての、相反する「志」と「影響」の同居になるのでしょうか。
でも、きっとその遠いキレイな人に会う日は来ないのでしょう。一生、振り向かせたくて試行錯誤しながら、人生の終わりがやってくるのでしょう。
そんなステキな話をしてくださったお客様に行っているインナーマッスルコンディショニングをお伝えします。内なる身体を使えば、志にもよい影響が与えられるはずです。
続く