2008/04/08  

第20話「寺子屋を書いて思うこと」

皆さん、こんにちは。

随分ご無沙汰してしまいまして、申し訳ありませんでした。

最近、トレーニングの視点を変えてみようと、あるトレーニングの理論を勉強し始めました。その理論はFNCといって、Functional-機能的な、Neuromuscular-神経―筋の、Conditioning-動作の改善、という意味です。そこでは人間の動作の特異性についてや、全身の連動動作(キネティックチェーン)、反射についてなどを学びます。

つい面白くて、教科書を何度も読み返し、その世界にすっかりはまってしまいました。すると、普段の日常生活で目にする人の姿勢や動きの特徴などが気になってしかたなくなってきました。

志あるリーダーのための寺子屋塾も、今回で最終回となりました。これを連載させて頂いたおかげで、私は色んなことに気づきました。連載したから得られた、私の気づきを最後に皆さんにお伝えして、締めくくりたいと思います。

私は、もともとスタジオのインストラクターという立場で、世の中の頑張っている人にむけてエアロビクスを通して応援してきました。それが、年齢を増すごとに、もう少しつっこんだ指導をして、人の身体に違いをつくりたいと思うようになりました。病気ではないけど不調、という人は多く、例えば肩こりや腰痛などの日常生活に支障があり、自分の使命をまっとうできないと感じている人のお役に立ちたいと思うようになってきました。

あきらめていた膝の痛みが軽減されたら、その人の人生に新たな可能性が増すかもしれません。身体が元気になったら、気持ちまでイキイキしてくると、信じているのです。

そうして生理学や解剖学などにも興味を持ち始め、人体の不思議に感動しながらパーソナルトレーナーという仕事を志すようになってきました。

トレーナーという仕事は、私は人に希望を与えてくれると思います。

例えば、慢性的な腰痛をもっていて、マッサージやカイロをよく受ける方が、パーソナルトレーニングを希望されたとします。今まで人に施術してもらって一時的に緩和された腰痛が、身体の使い方を変えるようなエクササイズをすることによって自力で腰痛を緩和できるのです。それは、どんなにうれしいのではないかと思うのです。

また、トレーナーとは、人の持つ能力を最大に引き出せる人だと思います。

一流のアスリートには一流のトレーナーがついて、試合当日にすべてのパワーがピークになるよう、一番近くでサポートし、選手が一番、信頼をもっている存在です。ところが日常の世界で、志に生きるサムライにもトレーナーは必要なはずです。世の中の皆は、その人の人生のオンシーズンを輝きながら生かされているのです。トレーナーとは、誰かの特別なサポーターなのです。

そして、トレーナーとはクライアントとの会話から、二人の居心地のよい空間を創れる人だと思います。

決して必要以上に遠慮したり気を使いすぎるというわけではなく、クライアントのこだわりや執着心を受け取って、安心させることが出来る人なのです。身体を拝見して、身体をつかってきたバックグラウンドが見えると同時に、コミュニケーションしながらその人の思想のバックグラウンドでさえ尊敬できる人ではないかと思います。

トレーナーは、クライアントの人生において、身体を使うということに責任を持ち最期までしっかり見守る。

医師をされている、ある私のクライアントが、患者さんの最期をむかえたあとに私のパーソナルトレーニングを受けにやってこられました。そして、「天寿をまっとうしたんだ。自分がみることができてよかった。」とおっしゃりながら、悲しい表情をされました。私はそんな使命で働いている方の身体の様子を拝見しながら、最期のときまで見守りたいと思うようになりました。明日もあさっても働ける体を創るトレーニング、という視点から関わらせて頂きたい、という想いです。

そういう視点で私のパーソナルトレーニングは進化しました。

そして、トレーナーに必要なこととは何か、どんなトレーナーになりたいか・・・そんなことばかりを考えるようになってきました。

結局、私はそうして、パーソナルトレーナーという仕事に志し、自分でどんどんハードルを高く設定し続けているということに気づきました。そして、ただそれだけが残りました。

トレーニングという立場から、クライアントとのやりとりの中での気づきや感想をもとに書いてきました。リッチに生きるためのヒントがあったら幸いです。

第一話で、「頑張っている人を応援したい。そのためなら何でもしようと思っている」

と書きました。今、ここでできることはこれが精一杯ですが、日々、トレーナーに志しながら、そのとき、そのとき出来る最大の力で世に表現してゆこうと思います。

今までご愛読、どうもありがとうございました。

皆さまの志が全うされますよう、私もトレーナーに志しながら応援いたしております。

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