2006/11/20  
2008.08.11   

7話 「心に愛を入れること」を実践してみませんか

 

今回は、心の病気が想念にどのように影響されているのかを見ていきましょう。

 

「心の病気」と言っても様々ですが、自分を正そうとして、本来の魂の想いとは全然違う想念がまるで漬物石かのような重さで心をギューッ締め付け、それで病気になっている人はかなり多くいます。病気にまで至らなくても、大きなストレスを抱えて苦しんでいたり、プレッシャーに押しつぶされそうだったり、閉塞感で息苦しく感じたりして、日々悩み苦しんでいる場合も、同じような状態が少なからずあります。そのまま放っておくと、その苦しみが高じて心の病となってしまうこともあるのです。

 

心は想いに殴られている!

 

40代のうつ病の男性が、自分は病院の薬では一向に良くなる気がしないと、ソウル・セラピーを受けにいらっしゃいました。まず椅子に座っていただきます。彼の胸に手を当てて、心にエネルギーを入れていくと、怒りの感情が雪崩のように次から次へと溢れ出てきました。彼の想いが波のように伝わってきて、私の体が勝手に反応していきます。

 

『俺はなんてダメな奴だ!』 と言いながら、ビシッ!と私の胸を叩くのです。

『しっかりしろ!』 ガツッ!今度はげんこつで殴ります。

『情けない!』 バン!平手で。

『何でこんなに弱いんだ!!』 ドンッ!両手で押しのけています。

 

このように私が感じている彼の想いは、全て彼自身への怒りでした。彼の自分への想いが、自分の心の弱さを責めて、握りこぶしで力一杯叩いたり殴ったりしているのです。

 

うつ病になるのは、責任感が強い人や完璧主義の傾向が強い人に多いと言われていますが、伝わってくる想念は、とにかく自分を責めている人が殆どです。これだけ殴られ続けていれば、どんなに元気な人でも心が弱ってしまうだろうと思うほど、想いが心を殴っているのです。

 

今回のうつ病の男性も同じでした。彼の心の様子が伝わってきたのですが、彼の思いに殴られてフラフラです。

 

「想いが心を殴る」とはどういうことなのか、もう少し説明しましょう。

 

想念とは、心の奥底から発生する想いです。通常は、心という器の中に納まっているのですが、その想いが強くなると、心の器の中で想いが暴れて心から溢れ出し、体についたり、思いを抱く相手の心や体に飛んでいくのです。今回の「自分を責める想い」も、心からあふれ出して、自分の心や体をボコボコに殴っていたのでした。

 

大抵の人は、感情に振り回されて自分を見失ってしまった経験があると思います。「カーッ」と頭に来て怒りで我を忘れてしまうのは、心の器の中で怒りの想念が嵐を起こしている状態です。心の中が激しく吹き荒れていて、心が制御機能を失ってしまっている状態なのです。ですから、感情に振り回されないように、想念をそのまま放置しておかないように対処する必要があるのです。

 

先程の彼と私の会話に戻りましょう。

「あなたの心は、あなたの想いに打ちのめされて、フラフラになっていますよ」

と伝えました。彼は黙ったままです。

そうすると、今度はフラフラになっている心の想いが伝わってきました。

 

「お願いですから、もうこれ以上殴らないでください。」

 

その想いを彼に伝えても、彼は黙ったままです。

 

彼に、心の想いを更に伝えます。

「殴られなければ少しずつ元気になって、あなたを応援することができるのです。でも、今のようにあなたが自分を責めてばかりいるようでは、心は元気になるどころか、ますます弱まり、あなたの足をもっと引っぱることになってしまいます」

 

心の病に罹っている人は、自分の心の弱さを責めている人が多いです。そういう人に、「自分を責めないように」と言っても、実行するのは至難の業です。ですから、責めている想いそのものを溶かすようにしていきます。

 

 

「想いを溶かす」ってどういうこと?

 

「想いを溶かす」には、難しい技術が必要なのではありません。ただ、「愛をかける」だけなのです。あなたの愛する子供や孫、ペットなどに「かわいい」と思うことがあるでしょう?あの気持ちと同じ思いを「愛しているよ」と心を込めて自分の心に伝えるのです。そうするだけで「想い」は溶けていくのです。ですから、私は、誰にでも「自分で自分の心に『愛してるよ』って思って、愛を掛けてくださいね」と言うようにしています。だってそれだけのことで、心に穏やかな平安がもたらされるのです。

 

心に愛をかけることによってあなたの魂がきちんと機能するようになると、魂は、心を平安に保つために、心に愛を満たすようになります。あなたが「自分の心に愛を入れる」のは、あなたの魂の機能を呼び覚ますともいえることなのです。

 

あなたの心が弱っている時に、あなたの魂はあなたになんと言っていると思いますか?「自分を責めろ」などとは、もちろん言っていません。それはあなたが自分自身の状況を勝手に診断して、あなたの心に向かって言っているのです。そうではなくて、自分を本来の姿に戻すために、魂があなたの心に言っている想いを実行する必要があるのです。それが、まずは「心を愛で満たす」なのです。

 

うつ病の彼にもいつものように、言いました。

「心を愛することはできますか?」

「それは無理です。こんな自分なんて絶対に愛せない。許せない」

 

殆どの人がそう言います。でも、「自分を愛してください」とは、言ってないのです。祈りながら「自分の心を愛してください」と言っているのです。似ているようですが、大きく違うのです。

 

うつ病は、心に元気になってもらうことがゴールです。心を痛め続けていては、心が元気になるチャンスがありません。どうか、まず、心を元気にするために、心という器に愛を満たすと思ってみてください。そうすることで、心を責めている想いが次第に溶けて責めることが減っていくのです。魂の機能が復活してきて、心が愛で満たされていき、やがて心に力がみなぎってくるのです。

 

実際に彼の胸に手を当てて、彼の心に向かって「愛してます」と声を掛けると、彼の心から、責める想いがどんどん溶けてなくなっていくのを感じます。

「如何ですか。先程より少し心が軽くなっていませんか」

「はい。なんとなく軽くなった気がします」

「心に愛を入れるというのは、こういうことなのです。エネルギー補給のようなものなのです。エネルギーを心に充電すると思って、ご自身でも『愛してます』と思っていただけますか」

「・・・・・・・」(心の中で思っているのが伝わってきます。)

「だんだん心が暖かくなってきませんか」

「う〜ん、そうかなぁ」

「あなたの心はとっても喜んでいますよ。是非毎日エネルギー補給をしてあげてくださいね」

「わかりました。やってみます」

 

その後も彼はソウル・セラピーに定期的に通い、毎日自分でも心に愛を入れ、心が軽くなってきたことも実感して、病院で処方される薬も次第に減ってきているところです。

 

一口にうつ病と言っても状態は人それぞれ違います。心が石のように固まって何も感じなくなっている人もいます。それでも、心に愛を入れることが初めの一歩なのです。

 

そして、もしあなたが日々ストレスで苦しんでいるなら、ぜひ試してみてください。あなたの抱えているストレスを溶かすと思って心に愛を入れてみてください。本当にストレスが溶けていくようになりますから。胸に手を当てて心に「愛してる」と思ってみてくださいね。そうすることで、あなたの魂がきちんと機能するきっかけにもなるのです。

 

 

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