2008.12.22   

第24話 : ゴールフリー二十周年を迎えて

内部が盛り上がらなければキャンペーンじゃない!

 弊社がゴールフリー(個別指導教育)を設立して今年で早、二十年となった。
 今では他の塾でも力を入れている個別指導であるが、弊社が始めた当時、個々の能力を伸ばす個別教育は、それほど注目をされていなかったのが事実だ。
 夢は人それぞれ違う。歩む足取りの速さも違う。
 そこに重点を置き子どもたちの個性をもっとも尊重しながら、子どもが持つ本来の力を精一杯伸ばしたい。ゴールフリーにはいつもそんな願いがあった。
 想いは今も変わってはいない。
 そのゴールフリーが二十周年という節目を向かえ、我々のマニュフェスト、そしてビジョンに向かってふたつの大きなキャンペーンをはることになった。
 ひとつは、ゴールフリー提供のテレビ番組である。
 テーマは「多くの子ども達に夢を持ち、努力し続ける尊さを伝える」で、二〇〇八年一〇月五日から二〇〇九年三月二十九日まで毎週日曜日午後五時五十五分から六チャンネル(朝日放送)で放送されている。
 番組タイトルは「ゴール アスリートの夢」
日本のトップ・アスリートたちが夢を信じて立ち向かっていく姿を五分間で放送、番組の最後にゴールフリーのコマーシャル・フィルムが流れる仕組みだ。
 このテレビ番組でのキャンペーンには、見ただけではわからない弊社ならではの願いとちょっとしたギミックが隠されている。
 その種明かしをしよう。
 ひとつはゴールフリーのコマーシャル・フィルムで、BGMに使われている曲を歌っているのもまたトップ・アスリートであるということだ。
 その人物とは、弊社が応援しているアスリートのひとりで、以前、私のエッセイでもご紹介したことがあるプロ・バスケットボーラーの森下雄一郎である。
 森下は、九十九年に渡米し、アメリカのカレッジリーグNSCAA(大学リーグ)でプレー。同リーグで二年連続のアシスタント王を獲得し、オールアメリカンに選出後、プロに転向した正真正銘のトップ・アスリートである。
 現在ではアメリカのストリートバスケットのメジャーチームAND1のサムライプレーヤーとして活躍しながら、同チームのプロデューサー的な存在としても注目されている。
 その森下が音楽−?
これは一体どういうことなのか。
 彼は言った。
「ひとつ、ひとつの言葉には魂がある。だから音楽をする」
森下は五年ほど前から音楽活動を続けていたという。
「バスケのメッセージには限界があるんです。僕は“言葉”が大好きなんで、その言葉を通して伝えたいことがたくさんある。今まで述べ十万人の前で講演会なんかもやってきたけど、その場にいる特定の人にしか伝わらないでしょう?そうですね・・・分かりやすく言えば“述べるより、伝えたい―”かな。」
その魂を一人ひとりの子どもたちの心に留めて欲しい、そんな強い想いが森下の言葉から私に伝わってきた。
「できれば、音楽の世界でも、夢が実現できるという熱いメッセージを多くの子ども達に伝えたいんですよ」
 森下のその言葉に私は即座に答えた。
「そしたら、今度の役員会の時に、君の歌を聞かせてくれへんか?」
時は同じく、ゴールフリーのキャンペーンのコマーシャル・フィルム作成プランも行われていた。
どうやら森下は、タイミングを味方にできたようだ。
目的はゴールフリーのコマーシャルソングに起用するか否かの判断である。
 こうして森下は今年三月、弊社の役員会に来て、自分で作詞・作曲した歌を披露したのである。
 役員会で全員が森下の歌を「いい」と言えば、即起用だ。
 身内(社内)の魂に火がつかなければキャンペーンは成功しない。まずは我々が熱い空気に包まれなければその想いは外へ届かないのだ。
果たして、森下の歌はというと、その声と音楽は予想以上に素晴らしかった。役員会では満場一致で即CMソングの起用が決定した。
こうしてこの秋から番組の後に、森下の歌声、“一人ひとりの夢”でゴールフリーのコマーシャル・フィルムが流れることになったのである。

 さて、ギミックはもうひとつある。
 この番組の放送時間が日曜日の夕方という点である。
 弊社の塾はゴールフリーも含め、日曜日の午後は授業を行っていない。
 つまり、塾生もテレビの前に座って番組、そしてコマーシャル・フィルムを見ることができる。
 塾内では「みんなで番組を見よう!」と子ども達に呼びかけた。
 アスリートたちの夢に向かって走り続ける姿を見ることで、自分の夢、達成へのモチベーションを高めるためである。
 一流のアスリートは夢への情熱が強い。その姿を通して夢のない時代と言われる今、子ども達が夢を信じて進むことが大切だ。
 また、塾生が同じ番組を見ることによって、次の登園時に互いに番組の感想を述べ、想いをシェアすることはいい刺激となる。「自分たちも夢を達成しよう」という意欲にも相乗効果をもたらすだろう。
 スポーツがあれだけ万人から感動を得るのは、結果が分かりやすく努力がとてつもなく美しく人々の目に映るからだ。
 同じように、森下も、自分の姿を通して「夢をあきらめるな!」と訴え続けていたひとりである。
 森下は今の自分をこう締めくくっている
「時代を超えて残せるものって何だろう?時代を超えて残せるものを自分は築きたい、伝えたい・・・。色んな人がいて、色んな生き方ってあるけど、今、考えているのは“百年後に残せる生き様をつくること”です。それがボクの進もうとしている道」
“百年後に残せる生き様”とはなかなかの名言である。
 森下が作詞・作曲した「一人ひとりの夢」は、まさにゴールフリー(ゴールはその人それぞれのとてつもないデカイ夢に向かって)である。
 
滋賀レイクスターズを応援する

 二十周年のふたつ目のキャンペーンは、滋賀レイクスターズとのメインオフィシャルパートナー契約(二〇〇八年十月から二〇一〇年春)である。
 滋賀レイクスターズはプロバスケットボールチームで、滋賀県初のプロスポーツチームでもある。
 滋賀県は、弊社にとってAWAYではないが、HOMEとも言えないいわばHALF HOMEの市場だ。そこで、初のプロスポーツチームを通して地域の皆様に少しでも弊社に馴染みを持っていただけたらとの思いである。
 また、同チームの代表、坂井信介氏が非常に教育熱心な方であったというのもメインオフィシャルパートナーを結ぶに至った大きな要因だ。
 ただのメインオフィシャルパートナーではなく、バスケットボールを通じて地域の子どもたちの人間力や学力を伸ばせるようお互い協力しあおうというわけである。
 弊社ではこの夏、滋賀レイクスターズのバスケットボールクリニックを開催した。
 これは、プロのバスケットボーラーから指導を受けバスケットの本当の楽しさを味わってもらうという催しだ。
 健全な精神と健全な肉体がなければ、真の学力アップはない。
 保護者が進学塾に求めているのは成績の向上だろう。しかし我々が目指すところはそこに留まらず、子どもの自立、そしてその子の生活習慣が大きく発展できるような教育を常に目標に掲げている。
 成績が上っただけでは夢は達成できない。高学歴神話が崩れた今、本当に必要なのはバランスの取れた精神と、肉体である。
 ゴールはみんなそれぞれでいい。
 しかし「ゴールの目指し方」には一種のノウ・ハウがある。
 我々のゴールフリーは、二十年というその経験から、多くの子どもたちの魂に火をつけてきた。そして、こんな時代だからこそ、そのノウ・ハウが教育の中で求められていくことは間違いないのである。

*次回は、二年越しで完了した弊社の社員セミナー「喜感塾」についてお話します。

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