2009.03.10  

第15話 見えざる手

今、世界は経済恐慌の中にある。

昨年10月26日の日経新聞では「神の手はどこへ」という見出しで、これまでの市場原理に疑問を投げかけた。

「自由な競争ができる市場があれば、最も好ましい方向へ動いていく」というのが、これまでの米国のリーダーの考え方だった。

これを古典派経済学派の祖、アダム・スミスは「神の見えざる手」と呼んだ。

しかしそれを推し進めてきた結果がこの経済恐慌だ。神の手は動いていない。どこにあるのだ!という記事である。

しかし私には「見えざる手」は着々と仕事をしているように見える。
 神の手は、経済市場にだけ働いているのではない。 つまり地球全体に働いている。神の手は、世界の人たちが繋がるように動いているのだ。

この株価大暴落を受けて、EUの首脳が集まり共同歩調をとろうとしたが、 結局、国別に対策を取ることを発表し、さらに株価が暴落するという事態になった。

そこで、慌ててEUの各国は共同で経済市場に介入することを決めた。つまり、各国が協力し合う方向になったのだ。

ここに神の見えざる手が働いている。

なぜ携帯電話が爆発的に世界に普及しているのか?

 なぜインターネットが世界を覆い尽くし瞬時に世界を知ることができるのか?グーグルアースの様なサービスが無料で提供されるのか。昔、米国留学をしていた時の住所を入れれば、瞬時に、住んでいた街角の衛星写真は勿論、下宿の建物の様子も懐かしむことができるのだ。

これは、繋がろう、繋がろう、という見えざる意志の表明だと観ることができる。しかも世界が協力して一つにならないと解決できない、大きな、しかも深刻な問題が現われてきている。

それがオゾン層の縮小、温暖化問題、異常気象、環境汚染を始めとする地球環境の破壊だ。

これは、世界が協力して一つにならないとうまくいかない。いやそれどころか、人類が滅亡する危機的な方向に動いている。

この唯一の解決策が、「繋がる」ことだということは皆さんには自明だろう。

ただ、個人が一生懸命やる(自由競争)だけではだめなのだ。 天命・天職に志した人たちが繋がることで初めて、光が見えてくる。 

これが私たちがめざす氣脈の意味であり、メキキの会とサムライ・ソーシャルネットワークの存在意義ではないか。

世界の向かう方向は、明らかにワンネス「世界は一つという一体性」だ。 私たちにはゴールは見えている。それを実現するためのリバース・エンジニアリングが、氣脈なのだ。それが、見えざる手の働きだから。
                              出口光