2010.04.26  

第44話 「学校や会社で教えないことをやる」

私は実に素晴らしい師匠たちに恵まれた。
ゴッドハンドと言われ、空手の強さを世界へ知らしめた大山倍達先生。
空手の常識を超えた本当に使える技を教えてくださった芦原英幸先生。
そして、日本に空手を普及させた船越先生の弟子で、大本武道講師の奥山忠男先生。
いずれも一流ではない。「超一流」の達人たちなのだ。

それは古武道界にありがちな、誰も見たことのない偽りの伝説の持ち主ではなく、実際にその体をもって実践し世界に証明した本物の方々である。それぞれが独自の技をもち、その五体をもって命がけで得た技のノウハウをこの愚か者に教授してくださった。その軌跡は私の中に確実に刻まれている。

そして極めつけが、最後の師、大本四代教主、出口聖子様だった。四代様は武道家ではない。それ以上の強いお方だった。私に足らないものをしっかり教えてくださった。そればかりか大きな希望を与えてくださった。明るい未来を信じる心をくださった。・・・これだけの方々に出会えたことは奇跡としかいいようがない。思えば身震いする。

これら神わざの師たちの強さとやさしさを私は忘れない。数々の幸運に恵まれて、年月を経てやっと和良久の稽古基盤が固まった。ようやく自分に与えてくださったものを人にお渡しできるときがきた。

渡すといっても自分の力不足は否めない。しかし、この和良久の技と思想にまとめたことは超一流の師たちの思いを反映できたものと胸を張る。師の時代の技と心をいまに残し、未来につなぐことが報恩になるかと察す。

容易ならざる達人たちの技と、難解な言霊の理念。これを和良久においてわが同志たちと練ってきた。わが慕わしき稽古人たち。

皆、それぞれに人生の荒波を越えてこられた方たちである。理念における専門用語や、技の緻密なことについても敢えて平易なものに置き換えず、そのまま稽古として導入してきた。今度は、これを子供たちに伝えたい。たとえで言うなら、古文書を絵本にするのだ。しかも簡略化したものではなく、凝縮したものを。

 和良久の稽古は、体のこと、心のことについて示した言霊の理念が基本となっている。

 それは、たんに武道という一ジャンルにとどまることなく人間教育として必要な要素を多分に含んでいる。

  学校や会社で教えないことを私たちがやる。失われつつある日本の姿と精神を教育する場を提供したい。かって武家の子弟たちが武道を基本として学問や芸術、そして礼節を学んだように、日本が日本のことを教えなくなった今誰かがやらねば。

和良久を学んだ子供たちが成長して、政治家になり、企業家になって日本を守り、世界に飛び散って日本の威信をしめす。嘘のない気迫に満ちた若者たちが混沌とした空気を薙ぎ払う。知恵や無謀な力ではなく、高度な霊的感性をもって世界をリードしていただければ嬉しい。

和良久は世界の人々の平和と健康をまもる頼もしき「もののふ」の育成を行う。そのためには、まず子供たちを指導する者を育成する。

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