2011.08.17      

第63話 「宇志採羅根真大神」

1、九鬼祝詞にあらわれる神

 
九鬼家に伝わる祝詞には以下のような文があります。

『 宇志採羅根真大神(うしとらのこんしんおおかみ)と申し奉るは、すなわち造化三神、天神七代、地神五代、陰陽の神の総称にて、日月星辰、三千世界、山河草木、人類禽獣をはじめとし、森羅万象の万物をして宇宙の真理より創造大成せらるる大神の御事なり。

天之御中主大神、高御産霊大神、神御産霊大神、伊弉諾大神、伊弉冊大神、天照大御神、月夜見大神、素盞嗚大神を奉斎主神とし、総じて宇志採羅根真大神とあがめ給う。ここに全世界、地球をして東西に分かち、その東半球の北東の国、万国の丑寅の国は、わが大日本豊葦原瑞穂国とす。すなわち、全世界をして創造大成するの任にあたる所為なり。
宇志採羅は、宇宙真理の根元なり 』

以上のように九鬼家の伝承は古く、大本発祥の基になったのは否めない事実でありましょう。それで大正八年、九鬼家と出口王仁三郎聖師はお会いになったということですが、両者はたちまち決裂され、その後、九鬼家は反大本運動をおこされたということです。

私が何より重要に思いますことは、ウシトラノコンジン、すなわち日本を代表するこの八つの神々の集団が、そのご出現になる媒介を「大本」とされたことだと存ずるのです。

2、媒介

エネルギーというものは、そのエネルギーを生かせる媒介を通してこそ反応をおこし、その効力を発揮します。たとえばここに電池があります。しかし電池だけではなんの効力も現れません。これを目覚まし時計や、ラジオ、懐中電灯などの機器にいれると時計は動き、懐中電灯は光り、ラジオは鳴り出します。

たとえば山の奥に誰も目もくれない小さな花が咲いているとします。これはきっと昔から咲いていたものなのでしょうが村人たちはさして気にも留めません。そこへある植物学者が偶然その花を見つけました。学者はそれを研究し、調べました。そして驚きます。「これは新種の花だ。しかもここにしか生息しない非常に珍しい花だ。いま絶滅の危機にある」

 さっそく学者の手によって花の種類が調べられます。花には難病を治すすぐれた薬効などもあることがわかりました。やがて花には名がつけられ、大切に保護されます。それが世に発表されるとその花を一目見ようと世界中からやってきます。

水茎文字も大石凝真素美先生が関わられたものです。しかし、出口王仁三郎という人物がおられなければ具体的に私たちの目に触れることはなかったでしょう。

言霊や剱も太古の昔からありましたが、大本と歴代の教主様たち、そしてわが師奥山忠男という媒介がなければその真実の姿は現れませんでした。そして、言霊と剱の姿は現れたものの、その動きはどういうものか。これは不肖私が関わらせていただき、四代教主様のお支えで具体的な技として表わすことを得、和良久となりました。  

このように、万物は出会いというものを繰り返しつつ、その存在を明確にしてきているようです。しかも、その出会いが、出会う者どうしのエネルギーが適合するか否かは非常に重要なことです。

3、道を学ぶ資格

大本を離れて世界救世教や生長の家、そのほか教団を組織された多くの方たちが、九鬼の伝承を学んだといわれます。あの合気道開祖、植芝盛平師もそのお一人だそうです。それに比べ小さなことですが、以前、私と稽古していた稽古人が私のもとを離れ、奥山先生に教えを乞いに出かけた方がいたそうです。奥山先生はもうその時はすでに大本を退職され、ご自宅で静かにお過ごしになっていた時期でした。

何事も人は自分の行うことに、より高い付加価値をつけたがるものです。より歴史のあるもの、より高名な人のお墨付きがあるものをこそ尊ぶのは致し方のないことです。私は大本で人生を見出し、教主様に計り知れない御恩を受けました。そのうえで和良久があります。稽古を通していろいろなことが浮かび上がってきますが、そういったことが事実であれ何であれ、私は人というもの、今に至ったルーツを忘れたり、義理を欠くようなことがあっては「道」を学ぶ資格はないと思うのです。

4、こんじん様のご使命を腹に

「うしとらのこんじん」
私自身、大本の存在がなければこの神様を知ることはありませんでした。当然、和良久もありません。そして何より今の大好きな稽古人さんたちの笑顔にまみえることはなかったのです。

九鬼をはじめ、その他古代の伝承は、修行の身にある者にとってとても興味の尽きない糧です。これからも稽古によってさまざまなのことを知ることになるでしょうが、私は今につながるに至った、劇的な出会いとご縁を大切にしていきたいと思います。

 「全世界をして創造大成するの任にあたる」とされる「うしとらのこんじん様」のご使命を腹におさめ、和良久を全世界に広めていきたいと思います。

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