2012.04.04
第75話 「大天使ミカエル」
ミカエルはヘブライ語で神に最も近い者という意味で天使の中の天使といわれています。
知力、武力ともに優れた天使で、サタンとの戦いにおいて神の剱を抜き放ち勝利しました。サタンに初めて恐れと苦痛を与えた実力者です。
『その攻撃力においても、瞬時に敵の攻撃を避ける早業においても、どちらにも遜色はなかった。
ただ、ミカエルの剣は神の武器庫から賜ったものだけに、さすがに鍛え抜かれており、その刃にはどんなに鋭い剣も硬い剣も刃向かうことはできなかった。
一挙に屠り去ろうと、真っ向から激しい気負いで振り下ろされたその剣を、サタンの剣がはっしと受け止めたが、その次の瞬間、真っ二つに切断されてしまった。
それどころか、ミカエルは目にも止まらぬ速さで己の剣を後方に弧を描いて振りかぶり、再びサタン目がけて振り下ろすと、今度は彼の右の脇腹を深くえぐった。この時、サタンは初めて苦痛を知り、身をよじって転々と転げ回った』 ミルトン「失楽園」より
またヨハネの黙示録においては、こう記されています。一人の天使というのがミカエルです。
『わたしはまた、一人の天使が、底なしの淵の鍵と大きな鎖とを手にして、天から下って来るのを見た。この天使は、悪魔でもサタンでもある、年を経たあの蛇、つまり竜を取り押さえ、千年の間縛っておき、底なしの淵に投げ入れ、鍵をかけ、その上に封印を施して、千年が終わるまで、もうそれ以上諸国の民を惑わさないようにした』
シナイ山においてモーゼに十戒を刻んだ石板を授け、フランスの百年戦争においてジャンヌダルクにお告げをし勝利に導いたのもミカエルです。
天使ミカエルは、ヨーロッパの人々にとって崇敬を集めています。
マイケルやミシェル、ミハイルなど国によって発音はことなりますが、その功徳にあやかって、ミカエルの名前をつける方が多いのも、その崇敬の度合いを表しています。
カトリックにおいては「日本の守護聖人」とされ、神から賜った剱をもって悪魔から人々を守り、死者の魂を天国に導くまことに偉大な天使です。
武道を志す者が世界を舞台に活躍する際には、この大天使への祈りを決して忘れてはならないと思います。