第137話 「コホロコホロと千早振る」2015.01.05
剱の技をなすのに最も大事なことは「自転」です。
体がどう動く、足がどっちに向く、手がどう動く・・・そんなことは「おまけ」に過ぎません。
手の中で「コホロコホロ」と剱を転がすと、勝手に腕が、体が、足がついてきます。
複雑に思える75剱も簡単この上ありません。
「なぜうまく技が出来ないのか?」そう悩む方も多いと思います。
当然です。
そういった方たちは確実に「自転」することを放棄している方です。
手の内で行う、細かくて人には見えない部分の動きを捨て置いて、技が出来るはずがありません。
とにかくまめに「コホロコホロ」と手の中で剱を転がすことです。
あきらめないで、怠らないで、一生懸命に剱を自転させるのです。
そうすれば100パーセント言霊剱は出来ます。
私が何度も何度も「自転運動をしてください、そうすれば必ず出来ます」と、口をすっぱくして申し上げても、まったくやってくださらない方がいます。
また、最初は転がしていても、途中で転がすのを止めて、棒振り運動に変える方も多く見受けられます。
和良久は、世界で唯一の神代の技ツルギを行っている、本当の武道です。
古事記の記述を絵空物語とせず、本当の神の物語としてとらえ、言霊学をもって忠実に再現しています。
古事記は、漢字で考えてはだめです。
言霊で考えねば本当のことはわかりません。
言霊で再現した古事記の世界は、まことに素晴らしい和の法則に満ち満ちた世界です。
古事記に登場する創造の技は「アメノヌホコ」による国づくりです。
ここに人類と日本の歴史があります。
アメノヌホコの動きは「コホロコホロ」です。
そして生まれた島が「自転島〜オノコロジマ」です。
「オノコロ」とは、「自らの力で呼吸を(いき)する」すなわち「われは生きる」という意味です。
剱の技で最も大切なのが「オノコロ」です。これは手の中で剱を転がすことです。
剱が転がり、呼吸が盛んになりますと、体に捻りが加わって強度を増し、自転につられて公転運動が美しく弧を描きます。
その弧を描く動きで、腰が動き、手足が動きます。
自転運動は、原動力なのです。
人の世においても、まず自らが積極的に「生きる」という姿勢がなくては始まりません。
もし、当人が生きる気力も無い場合、周囲は何もできません。
自らが転がってこそ世界は動くのです。
自分が活動しただけの世界です。
私たちはコホロコホロと転がって未来に向かっているのです。
「コホロコホロ」とは、火と水が絡まり、組まれる様子を表現しています。
それは、呼吸をたゆまず繰り返すという意味です。
神代という言葉がありますが、言霊学では「火水与」という字を当てています。
「与」は組むと読むと注釈を加えています。
コホロコホロをやめるときは、呼吸が停止するときです。
剱が円滑に旋回するのは、この呼吸力が充実しているときなのです。
人の目の届かない手の内で「コホロコホロ」と転がす運動あってこそ、虚空に美しい螺旋が描かれるのです。
美しい螺旋こそ言霊の本質です。
言霊剱となるために大切なこと・・・それが自転なのです。
今日からもう一度コホロコホロと言うことを意識して剱を振ってください。
一回旋回させるのに、何百回も何千回もコホロコホロと転がすつもりで剱を扱ってください。
皆さんの剱がさらにきめの細かい振動を起こし「千早振る」こととなるでしょう。
火と水が こほろこほろと転がりて 千早振るこそ 神代なりけり