2016.06.14  

            第150話 「人類の学び」

この世に人類が現れてどれくらい経つのでしょうか。

気の遠くなるような歳月を経たことを考えれば、発生当初から見れば現代は随分と精神的に成長しているに違いない・・・はずなのですが。

   ○

殺してはならない。
盗んではならない。
偽ってはならない。
犯してはならない。

十戒が提示されるまで、人類はこんな当たり前の戒律さへ守れていなかった時代が永く続いていたのでした。

人に罪の意識などというものもなく、ただ生きるために食べ、食べるために殺し奪い、得るものを増やすやめに人を傷つけることを普通にやってきました。

文化的な生活となって集団生活が始まり集落が出来ても、なお人としての尊厳や道徳観念、そして社会的秩序などを知るまでには随分と歳月を要したようです。

日本においても、ほんの数十年前ですらまだ山深い村などにおいては、村八分、夜這い、うば捨て、口べらしなど信じられないような習慣や風習が公然と存在していたくらいです。

静かでのどかな自然と共生した素朴な村人たちというイメージの奥に、ちょっと隠れた灰色の歴史があります。

それは大祓祝詞にもその無秩序の様子が描写されている如くです。

「くしさし、いけはぎ、さかはぎ、おのがははをおかせるつみ、おのがこをおかせるつみ、けものをおかせるつみ」

これは大地への自然開発を怠る意味としても解釈されますが、この祝詞が作られた時代背景には、戦争や飢餓、疫病などが蔓延していた時代です。

当然、社会的秩序や道徳観念なども希薄でした。

神意は時にはあまり大局に考え過ぎず、その文字のままに解してよいと思います。そうすれば人間としてもっと身近な問題として考えることができます。

あの大祓の祝詞は現代においてもまだ続く内容なのです。

いいえ、今だからこそ必要な戒めではないかと存じます。

   ○

殺してはならない。
盗んではならない。
偽ってはならない。
犯してはならない。

そんな、人間として、してはいけない当たり前のことさへ、つい近年までよく理解できていなかったのです。

いえ、いまなお理解できていないのではないかと存じます。

私たちは、確かに生活は豊かになり便利になりました。しかし、魂の方はどうでしょう。

熟考すれば大した成長をしてないのではなかと思います。

それどころか、表向きをつくろって綺麗に着飾っているだけで、見えない心の闇の中で憎悪や嫉妬をつのらせ、人を呪うばかりではないでしょうか。

   

この広い宇宙でもっとも悲しみに満ちた野蛮な星の一つがこの地球なのかも知れません。

一体人類の魂の年齢は何歳なのでしょうか。

大人ぶり文化人ぶっていますが、きっと、私たちは、まだ母親に手を引かれて歩く足元のおぼつかない幼児なのでしょう。

あれが欲しい、こんなの要らない、と言って欲望の赴くままに駄々をこねて親を困らせている時期なのだと思います。

そんな中、まだまだ、わがままを言って兄弟喧嘩をする(利権を求めて戦争する)ことは止みそうにありません。

どんなに科学が発達して生活が豊かになっても、それは玩具を与えられた子供の域を脱しません。

魂の成長がなければ、私たちは体ばかりブクブクと肥えている肥満児のようです。

今度世界に戦争が起こったら、今までとは比較にならないほど取り返しのつかない大惨事となります。

それは人類のみならず、この星そのものの存続の問題となるでしょう。

いま人類は空まで手を伸ばし、他の星までもわがものにしようとしています。

あげくにロケットの残骸が宇宙空間に漂うゴミとなり、私たちの頭の上には地上と同様に無数のゴミが漂っています。

人類が犯した環境破壊は地球上ばかりでなく、宇宙にも侵食しているのです。

ここにも人類の幼稚さが露呈しています。ゴミは捨てないという当たり前のことが守れていないのですから。

他の星の方たちから見れば、私たちはまったく幼稚で迷惑千万な生き物だと思います。

   

いま最も急務なのが魂の成長に関する問題です。

体ばかり肥って魂が痩せていく事態は歯止めがききません。

魂は神の賜物です。

その霊魂は八力によって高められるとされています。

体を通してこそ魂は学べるのです。

八力は天帝(創造主)の完全なる力であると言われます。

スウアオエイという言霊の配列は教えてくれます。

ス〜神を崇めよ(天と地を見よ)

ウ〜省みよ(曲がることなく真っ直ぐに)

ア〜愛せよ(水平に)

オ〜信ぜよ(垂直に)

エ〜許しあえよ(強く)

イ〜認めあえよ(永遠に)