2007/07/16  

9話 アンダーグラウンド

パーティーの後、政治の世界のほんの一部を垣間見た僕は、帰宅してからも日本の政治について考えていました。

 

 日本の未来を考えて、志高く政治活動をされている立派な方もいらっしゃるでしょうが、多くの場合、「今だけ」「お金だけ」「自分だけ」なのではないかと感じました。少なからず、良いお話が聞けると思って期待していた僕は寂しい気分に慕っていました…。

 

 数日後、政治家を紹介してくださった方がお店に来たので、僕は改めて、ご紹介くださった御礼と、不躾なことを言ったお詫びを言い、また、政治家秘書の見習いになるお話をお断りしました。

 

 この時、すでに僕の中では政治家というものへの興味が失われていきました。縦社会の政治の世界では、理想を持って政治の世界に入ったとしても、政治家として生き残るには、初志の理想を持ち続けることは非常に困難であるし、それ以前に、今の世界の仕組みの根源的なところが変わらない限り、どんなに素晴らしい政治家が現れても、なかなか世の中は変わることがないと感じたからです。

 

 国民一人一人の意識が変わって、政治家だけに国を任せるのではなく、無関心から脱却し、国民一丸となって国造りをしないと良い国にはならないなと感じました。

 そのためには、良い国造りをしようと思うきっかけ=モチベーションが必要だと感じた僕は、情報をコントロールしているメディアや諜報機関の仕組みに関心を持つようになっていました。また、その仕組みについて、実際に体験したいという好奇心も生まれてきました。

 

 そして、しばらくして、僕は北新地のお店を辞めて、全く別の世界・アンダーグラウンドの世界へと行ったのです。

※インターネットでは公開できない内容のため、ここではあえて「アンダーグラウンド」と表現します。

 

 政治の世界が「表」と言えるなら、アンダーグラウンドの世界は「裏」の世界です。世界中に張り巡らされたネットワークを持つこの組織体で僕はアルバイトのようなカタチで働きました。

 

 僕の所属したプロジェクトは経済活動そのもので、毎日毎日、信じられないくらいの大金が動くのです。今まで経験したことのない経済の仕組みを目の前で学んで行ったのです。貧乏学生だった僕には信じ難い世界でした。

 

 数ヶ月した頃、飲み込みの速さと結果を出すスピードの速さを評価された僕は、部下を従え、そのプロジェクトのサブ・リーダーとなりました。毎日の大金と命に係わるほどのリスクで、精神的にはかなりきつく思えるところですが、世の中の仕組みがリアルに感じられるそのプロジェクトにヤリガイに似たようなスリルと興奮を覚え、ひたむきにがんばっていたのです。

 

 これから先、僕が何をしたかは、インターネットでは言える内容ではないけれど、短期間にとても凄まじいものがありました。ますます結果が現れ、上司からの信頼も厚くなり、大学卒業後、その組織に入るようにと何度もオファーされるほどでした。そのオファーは断りましたが、そのプロジェクト自体は、その後、TVニュースや新聞にも扱われるほどのインパクトのあるものとなりました。

 

 そのプロジェクトが完成した時、僕はあることを感じました。

 

全ての仕組みは彼らのもの…金融であろうと、マスコミであろうと、医療であろうと、強固に作られた世界、目に見える世界、世の中を支配している人たちが作った仕組みは、簡単には崩すことはできない。

人々の意識が変わらない限り、世の中の全てが一旦、崩壊しなければ、その仕組みは崩すことはできないと感じたのです。

 

そして、その後、プロジェクトの完成と共に、僕はその仕事を辞め、大学を卒業し、ある意図を持って、民間企業に就職をしたのです。

 

次回に続く…。

 

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