2009.02.09   

第23話 理想的なガン治療「高濃度ビタミンC点滴」その1

進行ガンに対する現代医療への疑問

今やわたしたち日本人の死因の第1位はガンであり、およそ30%を占めます。3人にひとりはガンが原因で亡くなるということです。確かに、早期ガンで発見された場合の予後は悪くありません。しかし、私は内科医そして放射線科医として20数年間ガン患者さんを実際に診てきましたが、「進行ガンの患者さんの予後が改善された」、という実感を正直持てていません。

ガンに対する治療効果の判定のひとつとして、「5年生存率」というものがあります。ガンと診断されて5年経過した時点で、生存されている患者さんの割合を示したものです。ガン治療には「手術」、「化学療法」、それに「放射線治療」という3大療法があり、近年これらの治療の進歩により、数字の上ではこの5年生存率は確かに改善してきてはいます。

しかし、私には治療期間がより延長しただけで「患者さんの治療への負担が多く、生活の質を改善させるほどの治療はまだ行われていないのではないか?」という疑問が残ります。何故なら、これらの治療により幾分死期を遅らせることは出来ても(もちろんこのことも大切なことと思いますが)、患者さんを治療前のような健康状態に戻せるほどの治療は、どれひとつとしてないからです。

こうした現代医療における、進行ガンに対する「無力さ」や「疑問」は、けっしてわたしひとりだけでなく、多くの医師も持っていることとおもいます。しかし、2007年夏、私の今までのガン治療に対するこのおもいに、希望の光が差しました。それは、大袈裟な表現かもしれませんが、太陽のまぶしさのように、わたしには衝撃的でした。それが、今回お話する「高濃度ビタミンC点滴」です。

希望の光、「高濃度ビタミンC点滴」との出会い

2007年春、私はあるクリニックの院長からひとりの患者さんの胸部CT写真を見せられました。
「どう、おもいますか?」と、院長先生。
「そうですね、左肺上葉にある肺癌で、すでに肺内に転移とおもわれる小結節が多数あります。ステージW。年齢も40歳台と若く、残念ですが予後は3ヶ月、長くても6ヶ月かもしれません」と、私。
「そうですか〜。すると治療は、化学療法しかありませんね〜。」
と悲しそうな口調で院長先生がつぶやきました。

こんな会話があってからおよそ4ヶ月近く経った夏、私はこの院長先生に紹介されて実際にこの患者さんにお会いすることが出来ました。場所は病院の病室ではなく、院長先生のクリニックの外来点滴室だったのです。発見時すでに肺内転移もあった肺癌症例です、若い方の癌の進行は特に早く、4ヵ月後の今ならば、通常病室で点滴に繋がれて痩せ衰えた状態か、すでに生存されていなかったかもしれません。

しかし、40歳前半のその彼は、日焼け顔をして、普段着の姿で元気な笑顔を見せてくれました。それどころか、今も以前と同じようにセールスの仕事をされているとのことでした。この彼がしていた点滴こそ、院長先生が新しく取り入れた「高濃度ビタミンC点滴」だったのです。

今までの経緯をお聞きすると、肺癌の確定診断を受けて、初め彼は化学療法を受けました。しかし原発病巣である左肺の肺癌が縮小しなかったため、高濃度ビタミンC点滴に期待をかけてこのクリニックで治療を始めたということでした。この点滴開始2ヵ月後には、原発の肺癌だけでなく肺内転移も縮小していたということでした。私は彼の治療経過をCT画像でも見せてもらい、実際に高濃度ビタミンC点滴の治療効果を確認しました。

すでに発見から2年近くたった今も、彼は定期的にこの高濃度ビタミンC点滴を外来で受けることにより、再発や他への転移もなくお仕事をつづけています。最近は驚くことに、トライアスロンにまで挑戦され、週に2〜3回数キロの水泳をしていると聞きました。このように高濃度ビタミンC点滴は、ガンの進行を抑えるだけでなく、生活の質まで明かに改善させてくれます。これは、いままで私が経験してきたガン治療ではあり得なかったことでした。

渋谷塚田クリニックでも「高濃度ビタミンC点滴」を実施

この症例に出会い、私は「高濃度ビタミンC点滴を使ってたくさんのガン患者さんを元気にしよう!!」と決意しました。そして開業と同時に高濃度ビタミンC点滴治療を開始しました。いくつものクリニックでこのような進行ガン患者さんの著明な改善例は、確かにすでに報告されていました。しかし、ついに私も実際に自分の治療を通して、奇跡のような実例を自分のクリニックで目の当たりにすることになったのです。

2008年の11月。当院で高濃度ビタミンC点滴を開始したとき、50歳の乳がん術後のその患者さんは、すでに肝臓にも転移していました。彼女の肝臓は、右肋骨下から明らかに触診出来るほど、大きく腫れていました。ひとりで歩くこともできず、クリニックの玄関の前に車を横付けして、ご主人に抱きかかえられて連れてこられるほどの状態だったのです。胸水も溜まり、息苦しさから酸素チューブもしていました。ご主人の話では、大学病院の主治医から「余命1ヶ月。年を越すことは出来ないだろう。」と宣告されたとのことでした。

それまでにも大学病院で何回か化学療法は施行されましたが、目立った効果は見られていませんでした。しかし、できる限りの治療はすべて受けたい、という患者さんの意向に沿い、大学病院での化学療法と併用して、私のクリニックで高濃度ビタミンC点滴が開始されました。私は、この点滴で回を重ねるごとに元気になっていく彼女の姿に、眼を疑いました。20数年のガン治療で経験したことのない程の病状の急速な改善だったからです。そして何よりもその元気になっていく彼女の姿に、彼女だけでなく治療している私まで嬉しさで元気一杯になりました。

点滴開始からすでに3ヶ月が過ぎ、彼女は新しい年を迎えることができました。定期的にクリニックで高濃度ビタミンC点滴を受けてくれている彼女は、今自宅から15分ほどのスーパーにひとりで歩いて買い物にいけるほどになっています。先日は、クリニックでの点滴後にお友達と会ってランチを食べ、新宿でショッピングをして自宅に帰るほどに元気な生活をされています。もちろん酸素チューブなどもはや必要なくなっています。この方が、「余命1ヶ月。年を越すことは出来ないだろう。」と宣告された方だと、誰がおもうでしょうか。

「高濃度ビタミンC点滴」とは

大分前置きが長くなりましたが、これから具体的にこの高濃度ビタミンC点滴についてお話します。ビタミンCがお肌によい、健康によいというイメージは誰もがお持ちだと思います。しかし、ビタミンCはそれだけに留まらず、ガン治療にも使えるのです。それは、経口でビタミンCを飲むのではなく、大量のビタミンCを点滴することです。

「高濃度ビタミンC点滴」の特徴を挙げます。

1. 「高濃度ビタミンC点滴」とは、血中のビタミンC濃度が高濃度となるような大量のビタミンCを点滴することで、ガン細胞を殺すはたらきをします。

2. 「高濃度ビタミンC点滴」は、ガン細胞だけを選択的に殺し、正常細胞にはほとんど影響がでないことから、今までの化学療法のような副作用がほとんどありません。

3. 今までの化学療法では次第に効果がなくなるという耐性が生じますが、「高濃度ビタミンC点滴」はガン細胞にたいして耐性ができず、使い続けることができます。

4. 「高濃度ビタミンC点滴」は、現在施行している化学療法や放射線治療と併用することができ、治療の相乗効果をもたらします。さらにこれらの治療による副作用を軽減してくれます。

5. 「高濃度ビタミンC点滴」は、現在出現しているガンの治療だけでなく、再発予防や未発症のガン予防のための治療としても使えます。

このことは、まさに高濃度ビタミンC点滴は理想のガン治療であることを意味します。今までの化学療法は、ガン細胞を殺すが正常細胞にもダメージを与えてしまい、そのために嘔気や嘔吐、脱毛それに骨髄抑制などの様々の副作用が生じ、患者さんはこの副作用に苦しまなければならなかったからです。

さて、次回は「高濃度ビタミンC点滴」の効用や実際の治療方法をさらに詳しくお話します。ひとりでも多くのガン患者さんがこの点滴により、病状がより改善され、生活の質がより一層向上されることを願って。

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