2009.02.23   

第24話 理想的なガン治療「高濃度ビタミンC点滴」その2

前話では、私が経験した「高濃度ビタミンC点滴」の著効例を紹介しました。今回は「高濃度ビタミンC点滴」の具体的な効果や実際の点滴の仕方などについてお話します。

どのようにしてビタミンCはガン細胞を殺すのか?
−ガン予防としての応用も可能−

現在使われている化学療法と異なり、正常細胞には影響を与えず、ガン細胞だけを殺すという「高濃度ビタミンC点滴」。このビタミンCの作用は、いったいどういうメカニズムによるものなのでしょうか?

大量のビタミンCが点滴されると、血管内のビタミンCは血管外の組織に漏れ出ていきます。そして高濃度となったビタミンCからは、活性酸素のひとつである「過酸化水素」が発生します。ガン細胞は血管外の組織中にあり、この活性酸素である過酸化水素がガン細胞を殺します。これが「高濃度のビタミンC点滴」によりガン細胞が殺されるメカニズムです。

一方、正常細胞には活性酸素である過酸化水素をほぼ完全に水と酸素に分解してしまうカタラーゼやペルオキシダーゼといった酵素があります。これらの酵素のはたらきで、正常細胞は幸いにも過酸化水素の活性酸素としてのはたらきを受けずに済みます。これが、高濃度ビタミンC点滴で過酸化水素が発生しても、正常細胞はその被害を受けないメカニズムです。

つまり、ガン細胞には、正常細胞のように過酸化水素を分解するカタラーゼやペルオキシダーゼといった酵素がほとんどないのです。そのために正常細胞のように過酸化水素を無害の水と酸素に分解することができずに活性酸素の被害を受け、殺されてしまうのです。

ちなみに、皆さんはすでにこの反応を実際に見ていると思います。怪我をした傷口を消毒するために「オキシドール」を使われた方がいると思いますが、実はこの「オキシドール」こそ、過酸化水素なのです。この過酸化水素が雑菌を殺すことで、消毒のはたらきをしているのです。傷口から白い泡が立ったとおもいますが、過酸化水素が赤血球に含まれているカタラーゼによって、水と酸素に分解され、そのときの酸素が泡となって出ているのです。

ビタミンCの血中濃度が350〜400mg/dlという「高濃度」になると、膵臓癌や悪性黒色腫、さらには骨肉腫といったほとんどのガン細胞が死滅することが実験的にわかっています。経口でビタミンCを飲んでもその血中濃度はせいぜい2mg/dlほどですから、ガン細胞を殺すほどの濃度に上げるためには、大量のビタミンCを血中に直接点滴することが必要となるわけです。「高濃度ビタミンC点滴」で組織中に発生した活性酸素のひとつである過酸化水素は、およそ30分以内でガン細胞を殺します。「高濃度ビタミンC点滴」において、このガン細胞を殺せる血中濃度は、およそ1時間持続します。

「高濃度ビタミンC点滴」は、上記のような作用でガン細胞を叩きますから、まだ胸部X線やCTなどで、さらに血液検査で異常を指摘される以前の段階、早期ガンよりももっと早い段階のいわば超早期のガンを叩くこともできるわけですから、再発や未発症のガン予防としても有効な手段となります。これは、再発を恐れている方や家族歴などから自分もガンになるのではないかという方にも、朗報だと思います。

濃度の違いによるビタミンCの2つの作用
 −「酸化作用」と「抗酸化作用」−

ここで、疑問に思われた方もいるかもしれません。「ビタミンCが活性酸素を発生させる?ビタミンCは代表的な抗酸化物質であって、むしろ体内に発生した活性酸素を退治してくれるのではないの?」と。

実は、ビタミンCの働きには血中濃度の違いによって2つの顔があるのです。「低濃度」のときは、体内にある余分な活性酸素を退治する「抗酸化作用」としての働きをします。そして「高濃度」のときは、活性酸素のひとつである過酸化水素を発生させて、この過酸化水素を分解する力のないガン細胞を退治する「酸化作用」としての働きをするのです。

ちなみに、「活性酸素」とは、呼吸で取り入れた酸素が変異したものです。通常は、この活性酸素は外界からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ、殺菌・消毒としての働きをするため、ある程度は必要です。しかし活性酸素が過剰にあると、遺伝子や正常な細胞を攻撃して酸化させ、シミやシワなどの老化や動脈硬化、さらにはガンなどを引き起こす危険因子となるのです。活性酸素は、紫外線やたばこ、排気ガス、電磁波、医薬品、ストレスなどにより発生します。私たちの呼吸によって取り入れた酸素のおよそ2%がこの活性酸素に変化すると言われています。

 

「高濃度ビタミンC点滴」の多くの効果
 −がん以外の疾患にも有効−

「高濃度ビタミンC点滴」はガン細胞を殺すだけでなく、その他にも多くの効果を発揮します。ここで、「高濃度ビタミンC点滴」の効果をまとめます。

1. 活性酸素を抑える(低濃度のとき):老化防止、シミやシワが減ります。
2. 天然の抗がん剤(高濃度のとき):ガン細胞を殺します。
3. 免疫力をアップさせる:抵抗力がつき、風邪をひきにくくなります。
4. 鎮痛効果がある:ガン転移の痛みなども軽減します。
5. コラーゲンを増殖させる:ガン細胞の増殖を抑制したり、お肌にハリとツヤを出   
したりします。
6. QOL(生活の質)が改善する:元気に暮らせます。
7. キレート効果(排毒作用)がある:有害重金属などの排泄を促します。

これらの多くの効果により「高濃度ビタミンC点滴」は、ガン細胞を退治するだけでなく、抗酸化力も高め、肌をきれいにしたり、髪が増えてきたり、免疫力をあげたりして、点滴を受けるごとに元気にしてくれます。この点が、繰り返すごとに副作用が強くなり元気がなくなるという現在の化学療法や放射線治療と決定的に異なるところです。そして「高濃度ビタミンC点滴」は、これら既存の化学療法や放射線治療と併用することでその副作用を軽減するだけでなく、尚且つ相乗効果をもたらしてくれるのです。

さらに現在、多岐にわたるビタミンCの効果はガン治療だけでなく、アトピー性皮膚炎
などの皮膚疾患に、またうつ病や統合失調症といった精神疾患に、さらには現代のストレ
ス社会の代名詞とも言える慢性疲労症候群においても広く有効性が認められ始めています。
ですからこの「高濃度ビタミンC点滴」は多くの潜在的な力を持った治療と思います。

「高濃度ビタミンC点滴」でのガン治療の実際

この「高濃度ビタミンC点滴」は現在保険診療では行えず、自由診療となります。したがって一般病院などではこの治療は行っておらず、この治療を受けるには、高濃度ビタミンC点滴を行っているクリニックに来院して頂くことになります。初診では、いままでの病歴や現在の治療内容をお聞きします。そして上述したように、ほとんどのガン細胞を殺せるビタミンCの血中濃度は350〜400mg/dlですので、この値を目指して、基本的には初回はビタミンC15gの点滴から開始します。

さらに次回以降の点滴では、ビタミンCを25g、50gと25g単位で増量していき、点滴後各々のビタミンC量での血中ビタミンC濃度を測定します。ガン患者さんの多くは、ビタミンC75gでこの治療域の血中濃度に達します。ちなみに大量のビタミンCを用いることから浸透圧が高くなるため、溶解液は蒸留水を用います。ビタミンCの量に比例して溶解する蒸留水の量も増やしていきます。

その後はガンの進行度にもよりますが、基本的には週に2回以上「高濃度ビタミンC点滴」を受けていただき、採血による腫瘍マーカーやCT画像の検査などにより治療効果を判定していきます。点滴時間は、ビタミンC1gにつきおよそ1〜2分で行います。ですからビタミンC50gですと、早くて50分から100分の点滴となるわけです。もちろん患者さんの状態によっては、さらに時間をかけて点滴することもあります。

「高濃度ビタミンC点滴」の治療頻度や期間の目安として、初め6ヶ月間は上記のごとく週2回以上の点滴を受けていただきます。この間にガンの縮小ないしは増大傾向のないことが確認できましたら、点滴頻度を例えば週に1〜2回に減らして、少なくして6ヶ月経過をみます。その後もガンの増大がみられなければさらに点滴頻度を少なくして経過をみていくことになります。

以上が、「高濃度ビタミンC点滴」の実際です。この治療を施行して感じることは、高濃度ビタミンC点滴は受ける頻度が高いほど、つまり週に1回よりも2回、2回よりも3回、3回よりも4回と数多く受けるほど、治療効果が大きく期待できるということです。頻度が高い程、やはり集中的にガン細胞を叩くことができるからです。

次回は、「高濃度ビタミンC点滴」の最終回となります。ガン治療においてもうひとつ忘れてはならない治療である「栄養療法」の話にも少し触れます。また理想的な化学療法であるこの「高濃度ビタミンC点滴」ですが、残念ながら適応とならない症例もあります。そして最後に何故今ビタミンC点滴なのか?その経緯や歴史についても触れておきたいと思います。

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