2009.04.20  

第28話  すべての治療の基本「栄養療法」
− 薬だけに頼らない医療を目指して その3

今や、薬局は言うに及ばず、コンビニエンスストアでもインターネットでも、どこでもサプリメントが売られています。また作る側も、製薬会社はもとより、飲料水や化粧品を販売している会社でもサプリメントを製造している現状です。そんな中、溢れんばかりに売られているサプリメントを、実際に今サプリメントを摂られている皆さんは、どんな基準で選ばれているでしょうか?今回は、「栄養療法」において、食事療法と並ぶもうひとつの治療の柱となる、サプリメントについての話となります。

「栄養療法」で使うサプリメント −よりよいサプリメントを選ぶ基準−

「栄養療法」で使うサプリメントの基準を、下記に4つ上げたいと思います。そして、この4つの基準を判定する、すなわちサプリメントの性能を判定するには、特別に情報を仕入れる必要はあまりなく、実はそのサプリメントに書かれてあるパッケージを見るとかなりのことがわかるのです。「栄養療法」で使うサプリメントは、いわゆる「ドクターサプリメント」と呼ばれるように、栄養素が高濃度かつ高品質であることが求められています。そのため市販のサプリメントとかなり異なりますが、これからのサプリメント選びに参考になると思います。

1. 原料は、天然由来中心である。
2. 添加物は、必要最小限にしてある。
3. 成分配合量は、欠乏症予防以上の量である。
4. 製造は、GMP基準の工場である。

ここに2つのサプリメントのパッケージを示します。どちらも「ビタミンB群入りのサプリメント」として売られています。

<パッケージA>
原材料
酵母(ビタミンB2含有)、ドロマイト(カルシウム・マグネシウム含有)、乳糖(乳由来)、デキストリン、酵母(ビタミンB6含有)、酵母(ビタミンB1含有)、酵母(パントテン酸含有)、酵母(亜鉛含有)、酵母(セレン含有)、酵母(クロム含有)、アルファルファ濃縮物、アセロラ果汁、ビール酵母、酵母(ビタミンB12含有)、酵母濃縮物、大豆濃縮物、結晶セルロース、ビタミンC,レシチン(大豆由来)、ショ糖エステル、微粒酸化ケイ素、イノシトール(米由来)、ビタミンD3(羊由来)
※ 青のフォントで太字、斜字体は栄養成分以外の添加物です。

<パッケージB>
原材料
乳糖、ソルビトール、ナイアシン、パントテン酸Ca、ショ酸エステル、甘味料(アスパルテーム)、ビタミンB6,ビタミンB2,ビタミンB1,香料、葉酸、ビタミンB12
※ 青のフォントで太字、斜字体は栄養成分以外の添加物です。

さて、この2つのパッケージの内容を比較しながら、サプリメントの性能を見る上記の4つの基準を説明していきます。

1.原料は、天然由来中心である。

 天然由来の原料を使用した場合には、酵母、乳酸菌、大豆、アセロラや○○エキス、○○濃縮物といったように、食品に近い名称が書かれています。パッケージAには、主に酵母からビタミンB各種やミネラルが抽出されています。これに対して、パッケージBでは、「ビタミンB1」とか「ビタミンB6」など、栄養素の名称が直接かかれてあり、「VB1」という書き方も含め、こういった表示のものは、原料が合成であるということになります。

こうした天然由来の原料で作られたサプリメントは、合成品由来のサプリメントに比べて、価格はどうしても高くなります。また、天然の原料は、栄養素の含有率が余り高くないため、1錠ないし1カプセルあたりの栄養素の含有量を多くすることができず、どうしても必要量を摂るために飲む錠数も多くなってしまうことがあります。しかし、天然由来の栄養素は、体内での吸収率や働きの面で、合成品よりも優れており、実際の食物に近いというメリットがあります。

2.添加物は、必要最小限にしてある。

 原料表示には、「原材料は多いものから順番に書く」というルールがJAS法(日本農林規格制度)で決められています。したがって、パッケージの初めの方に添加物(上記パッケージの太字、斜字体で書かれたものが栄養成分以外の添加物です)が並んでいる場合、そのサプリメントは栄養素よりも添加物の方が多いサプリメントの可能性が高いといえます。パッケージBでは、原材料の初めに、乳糖やソルビトールといった添加物が書かれていますので、このサプリメントは、肝心の栄養素より添加物が多いサプリメントである可能性が高く、お勧めできません。

3.成分配合量は欠乏症予防以上の量である。

 日本の栄養素の摂取基準は、欠乏症を予防するために設定された基準です。すでに前
回もお話しましたが、「栄養療法」で目指しているのは欠乏症の予防ではなく、より理想的な健康状態に近づけるために必要な量です。公的な健康保険制度が未整備な米国では、自分の健康を自分で守り、いつも元気に暮らそうとする人のニーズに応えて、より多くの栄養素を含むサプリメントが利用されています。下記表に、「栄養療法」での使用に耐えうる高性能なサプリメントと一般的なサプリメントの栄養素の量の違いを示しました。

 

上記の表を見てわかることは、「栄養療法」で用いる高性能なサプリメント、いわゆるドクターサプリメントは、成分配合量において一般的なサプリメントの2〜50倍の内容量となっています。こういった配合量があって初めて、より健康的な身体作りに役立つ効果が期待できるのです。

4.製造は、GMP基準の工場である。

 サプリメントの法的な位置づけは、病院で出される薬のような医薬品ではなく、いわゆる食品としてみなされています。そのため、その製造に関しても、医薬品のような厳格な製造基準であるGMP基準 (good manufacturing practice)は義務付けられていません。

 GMP基準とは、安心して使うことができる品質の良い医薬品、医療機器などを供給するために、製造時の管理、遵守事項を定めたものです。 食品の製造に関しては、このGMP基準はなく、そのため多くの企業がサプリメントブームに乗ってその製造に着手しやすいという一面があります。その結果、品質にもかなりの差ができてしまいます。「栄養療法」で用いるドクターサプリメントは、食品として分類されているサプリメントではありますが、医薬品製造と同レベルのGMP基準の工場で製造されたものを使っています。

以上が「栄養療法」で使うドクターサプリメント、よりよいサプリメントの基準4つの説明でした。これからの皆さんのサプリメント選びの参考になれば幸いです。

次回は、「自分にとって本当に必要な栄養素は何か?」についてのお話となります。

 

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