2006/10/16  

第2話 四魂の窓

◆四魂の窓とは

これからお話しする「四魂の窓」は、人のココロをずばり見抜くための魔法の窓だ。心から透けて見える、あなたの基本的な「魂」を見る2x2のマトリックスである。これは、日本古来の「魂」の考え方に基づいて、人を見抜く「四魂の窓」として開発されたものだ。

 

私たちの心に影響を与えている魂とは、4つの機能から成り立っている。人は誰でもその4つを持っていて、それぞれの強さが異なっている。その最も強い機能を知ることができたら、その人のココロがわかるのだ。

 

 

ここまでの私の話を聞いて、あなたは「眉つばじゃないの!」「人間はそんな単純なもんじゃないよ!」と思うかもしれない。たった2問で、人を見抜くことができる。シンプルだけど、そのシンプルさの中に真実がある。

 

私たちは当初、一霊四魂に関する数少ない文献を読み、あまりに少ない情報だけをたよりに議論した。何度も合宿を重ね、その概要を明らかにし、5年をかけて千名を超える人たちに実験をした。そこで得られたデータを因子分析という統計学的な処理で分析し、ついに100問の診断テストを創りあげた。それはとても嬉しく、誇らしいことだった。

 

だが、すぐ欠点に氣がついてしまった。人は100問を答えるのに、30分もかかってしまう。それをやるには決心と忍耐が必要なのだ。実際に、私の子どもたちに「100問やってほしい」と言うと、「えー、やるの!こっちは遊びで忙しいんだから」と拒否されてしまった。

 

これには頭にきた。だが、それにも道理があった。

私たちは、日常で人のココロをわかるために、会う人ごとに「100問テストを受けてほしい」とは、とても言えない。相手と話しながらすぐに相手のココロの世界を見抜かなければならない。そうでなければ、実用的ではないのだ。

 100問テストをやらなくても一瞬に相手のココロがわかる方法はないだろうか。私たちは頭を抱えてしまった。常にそのことが頭から離れなかった。そして、ついに一対比較法という手法で18問テストを創りあげた。これならたった5分でできる。「画期的なものだ!」と思った。

 

 しかし、それでも仕事で会う人ごとに、18問テストをやってほしいとは言えなかった。もちろん頼めば、義理で18問くらいはやってくれるだろうが。

 

私たちにとっては、人と普段と同じ接し方をしている中で、ココロを見抜くことが最終的な目標なのだ。そうでなければ、意味がない。18問という偉業?の興奮は、すぐに冷めてしまった。

 

 ところが、不思議なことに、私たちはいつの間にか、テストをしなくても、人を見ただけで診断するようになっていた。「待てよ、テストをしないのにどうしてわかるのだろう。変じゃないか!」

 多くの人たちに、100問テストや18問テスト、さらには人を観る研修「個の花道場」をするうちに、私たちは、診断結果とその人たちの何らかの特徴を捉え、それらを結びつけていた。そう考えるしかなかった。

 

 ある秋の夜、「個の花道場」という研修が終わったあと、研修生と共に京都の民家を改造した居酒屋で私たちは飲んでいた。そして人のココロを観る話をしているときに、突然、ある「2つの問い」が浮かんできた。私は、その「2つの問い」をその場にいる人たちに教え、皆でお互いの診断をしていった。見事なほどに、全員がその2つの質問を使って共通の診断ができたのだ。

 

私は歓喜した。

 

東京に戻ってからも、多くの人たちにそれを試した。なにもその質問を相手に投げかける必要もなかった。あまりにも簡単な質問なので、その答えを相手から感じることができたからだ。つまり、あなたもすぐできるようになる。これが『四魂の窓』と名づけた方法だ。

 

「それって、100問が18問になって、2問になっただけじゃないの」と冷めた声が聞こえてきそうだ。しかしそうではない。

この「100→2」への量的変化は、質的な変化をもたらした。これまでは診断テストという形で、人と対面することなく診断結果を集計し、分析せざるを得なかった。

 

 ところが2問になることで、いちいち相手に質問に答えてもらう必要もなく、さらに、その人と話しているさなかに、診断することができるようになった。

 これは、英語で話された内容を録音して日本語に翻訳して理解していたのが、リアルタイムで英語をそのまま理解できるようになったのと同じくらい人生に質的な変化をもたらす。

 

 ものごとはシンプルであればあるほど、美しい輝きを放つ。物理学者や数学者もその数式がシンプルで美しいものであれば、それは真実に近いと言っている。

 

 もう前置きはよそう。

この理論的な背景や起源をさらに説明する前に、あなたの心から透けて見える4つの魂のうち、どれが優勢かを2つの質問から診断してみよう。

 

質問1.「あなたは、情熱的ですか、それとも冷静ですか?」

これは「ホットかクールか」と言い代えることもでき、英語圏の人たちも診断できる。

 

それでは自分に答えをだしてみよう。

あなたの心に答えが浮かんだら、次の質問にいこう。

 

質問2.「あなたは、合理的ですか、それとも情緒的ですか?」 

これを「ドライかウェットか」と置き換えて、外人にも試してみよう。

 

さて、あなたの答えはどちらだろうか?

 

質問1と2の答えを掛け合わせると2x2=4で「四魂の窓」ができあがる。

 

 さてあなたは、「勇」「親」、あるいは「智」、それとも「愛」だろうか?もちろん、あなたは4つの魂を持っている。だがそのうちどれが優勢な人なのだろうか。あるいは、どれがベースといえるだろうか。まず、それを心にとどめて欲しい。

 ◆診断のために注意すること

 こんな簡単な質問でも、答えに迷ってしまう人もある。また、間違った答えを出す人もいる。それは、人間は「他人のことはわかっても、自分のことはよくわからない」からである。

 

できるだけ正しい答えをだすために、私の友人の例を見て、診断の参考にしてほしい。

 

私の知人は、企業や個人の「片づけ」のコンサルタントをしている。小さいときからカードを集めたりミニカーを集めたりして、コレクションが趣味だった。工夫して分類するのが大好きで、子どもながらに、いつも整理整頓をきちんとしていた。

学校を卒業して会社に就職しても、不思議にも事務職につき、書類や業務の整理をする仕事に就いたのだ。書類やものを片づけ、整理するためのアイデアが次々と出てきた。それが高じて、いまでは、なんと「かたづけ」の本まで出す、プロの「片づけ師」になった、几帳面で、分析的な男である。

 

私から見ると、彼は「情熱的か、それとも冷静か」というと、間違いなく「冷静」だ。実際、彼も「どちらかというと冷静だ」と答えた。このように質問1の「情熱的か、冷静か」については、ほとんどの人が間違わない。

 

 

 

しかし、質問2では、多くの人たちが迷う。実際、彼も「合理的か情緒的か」と問われたとき、しばらく考えて「うーん、自分はやっぱり情緒的かなあ」と言った。それは、とんでもない答えに思えた。「彼が合理的でなかったら、誰も合理的な人間などいない」と思えるくらい、周りの人から見ると合理的だからだ。

 

彼は続けて「なかなか合理的には、なり切れない。合理的であろうとしているのだけど、やっぱり、まだまだ徹しきれない。だから、根本的には情緒的かなあ」と言う。つまり、整理整頓するためには、常に合理的でなければいけないと思っているのに、その完璧な基準から見ると、自分は合理的になり切れていない、と思っているのだ。人生で「合理性」を追い求めてきたからこそ、高い基準で自分を見つめ、自分に足りないところが目についてしまう。

 

 

このように、「合理的か情緒的か」については、迷うことがしばしばで、間違った答えを出すことがある。もちろん人間だから誰しも、合理的な面と情緒的な面を持ち合わせている。したがって、どちらが強いかという基準で見てほしい。

それでも迷ったら、そのときには、周りの人に聞いてみよう。適切な判断をしてくれるはずだ。禅の話の中で「魚は水が見えない。人間は自分が見えない」という言葉がある。人は自分のことは、なかなかわからないが、他人を分析することには、鋭い視点を持っているように思える。

 

 さらにそれでも「そんな単純に割り切れるものではない」とごちゃごちゃ考える人は、間違いなく、「智」ベースの人であると、あなたに代わって、私が診断しよう。その理由はあとでわかる。

 

◆あなたの診断結果は?

さて、あなたは自分に投げかける二問で、勇、親、愛、智のどれに分類されただろうか?

 

もしあなたが情熱的で合理的なら、「勇」ベース。

もしあなたが冷静で情緒的なら、 「親」ベース。

もしあなたが情熱的で情緒的なら、「愛」ベース 。

もしあなたが冷静で合理的なら、「 智」ベース

 

それでは、四魂の窓の威力を知るために、まず簡単な診断結果をあなたと共に見ていこう。

 

1.「勇」ベースの人

あなたの心にもっとも強く影響を与えている魂は、「勇」で、とても情熱的だ。

あなたは、友人から「人の話を聞かない」と言われないだろうか?

あなたには、行動することが大切で、とにかくやってみようという考えが強いはずだ。その根底には、なにがなんでも物事を達成しようという強い意志がある。そして、達成とか、挑戦、可能性といった言葉を頻繁に使っているだろう。

 

2.「親」ベースの人

あなたの心にもっとも強く影響を及ぼしている魂は、「親」で、とても和を尊ぶ。

あなたは、友人から「掴みどころがない」「何を考えているかわからない」と言われないだろうか?

あなたには、常にグループの平和や調和を心がけ、皆に自分を合せ、「波風を立てたくない」という考えが強いはずだ。その根底には、自分より皆のために、仲間の平和のために、という強い意志がある。

 

3.「愛」ベースの人

あなたの心に強く影響を与えている魂は、「愛」で、感情や思いやりを大切にする。

あなたは「話が長い」と言われないだろうか?あるいは、あまり話さなくても結果的にあなたのことで、相手にたくさんの時間を使わせていないだろうか?あなたには、人を理解したいし、自分も理解されたいという強い想いがある。その根底には、相手に何かしてあげたい、相手を傷つけたくない、というやさしい思いやりがある。

 

4.「智」ベースの人

 あなたの心に強く影響を与えている魂は、「智」で、好奇心があり知的な面白いことが大好きだ。

あなたは、友達から「冷たい」とか「マイペース」と言われないだろうか?あなたには、思慮深くありたい、無駄をしたくないという強い考えがある。「こうしたらよいのに。ああすればよいのに」と、人の話や行動を見てあなたは評価していないだろうか。

その根底には、あなたにとって、価値あるものを求めたい、美しいものを求めたいという真理を探究する思いがあり、世界を評価的に見てしまうのだ。

 

診断結果は、どうでしたか。

 

当たっていましたか?

 

このやり方で、同じようにあなたの周りの人たちを診断することができる。2つの質問を相手に直接投げかける必要はない。習熟すると少し話せば、あなたはそれらを感じることができるはずだ。

 

「出口さん、人はそんなに単純にタイプに分けられないよ。人はそれぞれ微妙に違うし、いろんな想いというものがあるからね」とあなたは言うかもしれない。そう言うあなたは「愛ベース」の人かもしれない。もちろん、人は、勇、親、愛、智の4つの機能すべてを持っている。どれがベースとなっているのか、どれが一番強いのかという風に自分や人を見てほしい。

 

この本を読み進めるうちに、あなたは段階的に高度な診断ができるようになっていくだろう。「出口さん、なに悠長なことを言っているの。早く実践したいよ」と思ったあなた、勇ベースです!あなたの「焦る」心を表出させているのは、「勇」の魂だ。はやる心を押さえ、段階的に進んでいこう。

 

     あなたの周りの人たちの魂のベースはなにか?

 

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