2007/01/22
第10話 自分と相手の聴き方の違いを知る
自分と相手の聴き方の違いを知る
◆自分の聴き方を知り、相手の受け止め方を知る
この聴き方の違いを知らない以前にも、私たちは日常的に、だれもが同じ話を聞いても、人によってまったく異なる感想を持つものだ、と感じたことがあるはずです。あるいは相手に質問したとき、相手から思いがけない反応が返ってきてびっくりしたことがあるのではないでしょうか。
こちらが話をしたときに、まるで見当違いともいえるような答えが返ってくると、「自分のことがわかってもらえない」という不安や、「なぜそんなに曲解するのか」「そんなこと考えていたの」と怒ることになります。これは、先述のように四魂の強さによって聴き方がまったく違うということを理解すれば、納得できるはずです。
相手の受け止め方は、自分の聴き方や感じ方と同じとは限らないのです。自分の聴き方の特徴をまず理解し、そして相手の聴き方を理解すれば、その食い違いを超えることが可能になります。
この聴き方をつかむまでは、仕事で頻繁に怒鳴っていました。私のやろうとしていることを邪魔されたと思っていたらからです。実際に、「出口さん、柔らかく、怒らなくなったねえ」と言われるようになりました。本当に、腹が立たないようになってきたのです。自分の聴き方を実際の研修を受けつかむようになると、実際に、怒らなくなってくるのです。
◆聴き方をとらえて人を知る
こうしたことを理解せずに、表面的なノウハウばかり勉強しても人間の理解は進みません。たとえば、「上手な聴き方は、人の話を八割聞き、自分のことは二割言いなさい」「聞くときは、前傾姿勢で聞きなさい」「腕組みする人は防御の姿勢」などなど、多くのノウハウが存在します。
しかしそれは、あまりにも浅く形ばかりにとらわれていて、表面的なことにすぎません。実際には、そんなことで相手の話を上手に聞くようにはならないし、ましてや本当の心のなかを知ることは不可能といえます。
本当に相手の話を理解するには、ここまで述べた四つのタイプの聴き方がどれなのか。そして自分の聴き方がどれなのか。それらを俯瞰して見て、それぞれに合った行動をすることで、聴き方上手にはなってきます。
人が話す言葉を、耳を澄まして聞くことで、その人の本質的な聴き方を捉えることができます。人には言葉を超えて伝わるものがあるのです。そして、相手の聴き方から、その人がどのような世界を観ているのかを掴むことができれば、相手のココロがわかってきます。
◆聴き方は訓練できる? 3つのステップ
性格を変えることは難しいですが、聴き方は訓練することができます。
まず、自分の聴き方の特徴をまずつかみ、それがどのような問題を引き起こす可能性があるのかをつかみます。次に、他の3つの聴き方がある、ということを理解します。それから、人の話を聞くときには、極力他のいくつかの聴き方を組み合わせて聞くように努力するのです。
たとえば、愛の聴き方の強い人は、「好きか嫌いか」と聴きます。嫌いな人には興味を示さないわけですから、これでは話は発展しないし、視野が狭くなってしまいます。
そこで、他の聴き方、すなわち「できるかどうか」あるいは「面白いかどうか」「自分に関係あるのかどうか」という面からも検討しながら聴いてみるのです。
こうすることによって、一つの話のなかからもさまざまな側面を感じられ、情報も得られることになります。興味を示せなかった話にも関心を抱くことができ、視野が広がることになります。また、入口で拒否してしまっていた人間関係も、広がりを持たせることができるようになります。
仕事で、人生で人間関係がうまくいっている人たちは、ほとんどがこれら4つの傾聴能力を駆使できる人たちであることは、間違いないと思います。この聴き方を最初は意識的にしますが、続けていけば、しだいに身につき、瞬時に使い分ける達人になることができるでしょう。
そうすれば、「あなたは、自分の仕事の達成が」、おっと、これは勇の世界の聴き方でしたね。人生の平和や、分かり合う関係、真理の探究がしやすい環境ができあがってくることでしょう。
さて、次回からいよいよ、あなたのコミュニケーションに革命を起す方法を共に考えていきましょう。