2007/03/05
第13話 腹立たしい特徴はその人の「個の花」
この四魂の探求の中で、私たちは、相手の特徴そのものが批判の対象になっていることを掴んできました。ところが、批判の対象となる特徴は、その人の最も強いところであり、輝きなのです。四魂の区別や聴き方の多様性を知らずに、その輝く部分を批判していたら、人間関係は悪化し、人の輝きは消えてしまいます。
ここでお話してきたことは、その人の最も嫌だと思った部分を、「輝き」としてとらえることです。「輝き」としてとらえたら、それを言葉で表現してみます。つまり、自分が最も嫌だと思ったところを、輝きとして言葉で表すのです。
たとえば、「考えなしで行動する」という勇には、最も特徴である「行動的」というところに目を向け、「すぐに行動できるあなたがいるからこそ、この計画が実現に向けて動きだすのですね。素晴らしいですね」と言ってみます。
「自分の考えがないのか」と批判した親の人に対しては、「和を作り出して保ってくれているあなたがいなければ、このグループもこんなに和やかに仕事ができないのではないでしょうか」と表現してみるのです。
このように、相手の輝きを、まずありのままに肯定してみます。相手のありのままを尊重することで、その人は自分を受け入れてくれたと感じ、素直になれます。そこから、その人とのコミュニケーションがとれてくるようになりますし、人間関係が良好になります。尊重された人は輝き、成長していきます。
こうして、周囲の人やグループの人が全員でお互いを認め合ったなら、共同で行う仕事は円滑に動いていくことになります。悩んでいた人間関係は、大きく改善するのです。
◆異なった四魂ベースの人を受け入れる
私たちには、四魂の世界を理解したコミュニケーションをすることで、お互いの異なる世界で構成されている心の垣根を、取り除くことができる可能性が開かれてくるのではないでしょうか。
誰もが持つそれぞれ異なる素晴らしさを尊重する世界というのは、その人の本質が輝く世界です。よろいを着て封じ込めていた自分の魂とも言うべき本質が現れてきます。
私は、このようなことを実行することによって、本当に怒らなくなりました。勇の私は、昔は人から何かを言われると、じゃまされているように思えて仕方がなかったのです。そのたびに怒って、周囲の人と摩擦を起こしていましたが、しだいに私の観る世界が変わってきたのです。
よく世間では、自分の好きなタイプしか付き合わない人がいます。しかし、これでは進歩も発展もありません。異なる四魂ベースの人を自分の周辺においておくことは大事なことです。それによって、自分の足りないものを補ってもらえますし、いい刺激にもなります。また自分の偏りを正すことにも役立ちます。
とくに、自分が本来やりたいことをするためには、四つの垣根を取り払うことが必要であり、自分のいちばん嫌いなタイプこそ自分のやりたいことのために役立つのです。
また、会社でもプロジェクトでも、「勇」「親」「愛」「智」の全部四つの人がそろっていなかったら、いい仕事はできません。しかし、一般にはどれか一つが強い人に偏ることがとても多いのです。自分の気にいる者を「素晴らしい人」と思ってしまうからです。
会社の社長などトップは、自分の周辺に自分の話の合う部下ばかりをそろえていないでしょうか。面接で同じタイプばかりを選んでいないでしょうか。友人には同じタイプばかりを集め仲良くしたがってはいないでしょうか。
それぞれの四魂の人がうまく組み合わさっていることが、いい仕事を生み出し豊かな人生を築くのだ、ということをもう一度よく考えてみてください。しかも、これは理解するは易しく、実行するのはかなりの難関です。どのように自分の四魂、組織の四魂を鍛えていくのかを次の章で見てみましょう。