2016.10.24     

第18章―18 隠蔽(いんぺい)されたガン治療法の数々 その17

ガンを退治する酸素療法

ほとんどの人は酸素は非常にいいものどころか、これがないと致命的ですから、何よりも大切なもののひとつ、と考えていらっしゃると思います。

それでは、酸化というのはどうでしょう。健康志向の人は、抗酸化(酸化を防ぐ)の栄養素がたくさん入った食事やサプリメントなどで酸化対策をしていらっしゃると思います。

酸化は肌荒れを引き起こすばかりか、細胞膜や神経を傷つけて老化を促進する、DNAを損傷して遺伝子を狂わせ、ガン化の引き金となるなど様々な病気の大きな原因のひとつである-----------まるで酸化が美容、健康長寿の最大の元凶であるかのように言われています。

金属が錆(さ)びて老朽化していくのも酸化ですから、私たちが普通に知っている限りでは、酸化はろくなことがありません。

地球上で酸化を引き起こすのはほとんどの場合、酸素です。これ以上大切なものはないと思われている酸素は、とんでもない悪さもするわけです。

この酸素が地球の大気中に溢れ出し始めたと言われている23億年ほど前、当時の生物のほとんどは酸化対策がありませんでしたから、酸素の悪さによって、絶滅の危機にさらされました。それ以降、酸化対策を身につけるかが生物の生存の鍵となりました。酸化対策がない、あるいは不十分な生物は、酸素が薄いか、またはない環境でしか生き延びられませんでした。

今でも、微生物の多くは酸化対策がない、あるいは弱いですから、酸素が薄いか、ないところ、例えば動物の腸内などで生き延びています。ですから、酸素療法の主な目的は、細菌やウイルスなどを殺す、つまり殺菌です。

これらの微生物に対して、多細胞生物、特に、微生物から見たら巨大な植物、動物、人間は、酸素の酸化力を利用した、非常に効率の高いエネルギー代謝をすることによって、巨体を支えていますので、酸素の多い環境で生存しています。ですから、酸化対策は生存には欠かせない絶対条件です。

最近、植物に含まれる様々な植物栄養素(Phytochemical)が次々と発見されていますが、これらに共通するのは、非常に強い抗酸化力です。酸素の酸化力を活発にする大きな要因のひとつは太陽の光ですから、太陽にさらされる植物は、特に強い抗酸化力が要求されます。植物栄養素は加熱処理をすると多くが破壊されますので、私たちのできる酸化対策のひとつは、太陽のもとで育った野菜やくだものを、できるだけ採りたての新鮮なうちに、生で食べることです。

ガン細胞は、酸素に弱い微生物に似ているところがあります。酸素を使わないエネルギー代謝に大きく依存しているうえ、普通の細胞に比べて、非常に速いペースの細胞分裂(増殖)をしています。そのため、ガン細胞も酸化対策が弱い、と見られていて、酸素を一気に送り込み、殺菌と同時に、殺ガンもしよう、というのが酸素療法のねらいです。

(1) オゾン療法

酸素原子3個が連結しているオゾンは非常に不安定な酸素で、酸化力がとても強いので、空気中に100ppb(0.00001%)の濃度で、粘膜や呼吸器に障害をもたらすことがあります。100ppbという薄さで、酸化対策がかなりされている人間や動物の組織にさえ障害を与えるわけですから、酸化対策が不十分な微生物はひとたまりもありません。

水道水の殺菌にオゾンを使う自治体は多いと思いますが、オゾンで血液を殺菌して浄化するのがオゾン療法です。

もっとも強力なオゾン療法と思われるのが、RHP(Recirculatory Hemoperfusion、直訳すると再循環血液灌流)と呼ばれる治療法です。まとまった量の血を取り出し、特殊な機械で、血液をオゾン殺菌して元の血管に戻す、という方式です。オゾン殺菌と同時に、血液中の老廃物などを取り除くためにろ過もしていると思われます。ほとんどの場合、静脈から取り出し、静脈に戻すようです。

RHP療法をアフリカのケニアなどで本格的に採用したピーター・ジョヴァノヴィック(Peter Jovanovic)医学博士によると、例えば重症のエイズ患者で、医師にも手の施しようがないと見放された男性が、RHP療法によって3週間ほどでエイズを克服し、1か月で普通の生活に戻れたこともあったようです。

重症患者の場合、RHP療法と併用して、酸化力を上げるため、オゾンガスの吸入、過酸化水素の点滴投入もされるようです。

メキシコ・ティワナの病院やクリニックでは、オゾンを血管内に点滴で投与する方法や、オゾンを溶かし込んだお風呂に浸かるオゾンバスなどが積極的に、ガン治療に用いられています。

オゾン療法をアメリカのネバダ州カーソンで実施するフランク・シャレンバーガー(Frank Shallenberger)医学博士は、「オゾンはガン細胞を死滅させるだけでなく、通常細胞では、ミトコンドリアを刺激して、私たちに本来必要な、有酸素のエネルギー代謝を活発にする」と見ています。

シャレンバーガー博士は2000年以降、ガンなどの患者を対象に、体内に取り込まれた酸素がミトコンドリアなどでどれだけ有効に活用されているかを測定しているそうです。「これまで、酸素を有効に活用している人でガンを患っている人は一人もいなかったし、ガン患者で酸素を有効に活用している人も今のところ一人も現れていません」。

日本でも最近、”血液クレンジング”という名前で、オゾン療法が普及し始めています。オゾン療法を日本で早くから採用し始めた森吉臣医学博士のクリニックで、私もクレンジングしていただいたことがあります。

私の血管から100ccほど取り出された血液は、「かなりきれいな血だ」と森博士はおっしゃっていましたが、そこにオゾンを注入し、殺菌された後は、もっと鮮やかになったように見えました。これが点滴で元の血管に戻されました。

この日本で普及している方式は、少量の血液なので、RHPのような劇的な効果はないと思われますが、「酸化力が高いオゾンを扱うには、最も安全なおとなしい方法ですが、これでもガンなどの病気の治療に、大きな手助けになります」と、メキシコ・ティワナのオアシス病院(Oasis of Hope Hospital)院長のフランシスコ・コントレラス(Francisco Contreras)医学博士は指摘しています。

(2) 過酸化水素

過酸化水素も酸化力があり、殺菌剤として使われます。ただ酸化力は、オゾンやスーパーオキサイドに比べれば、弱いようです。

過酸化水素を分解する酵素(こうそ)の代表がカタラーゼで、通常の細胞は過酸化水素の酸化から身を守るため、カタラーゼをふんだんに製造しています。ところが、多くのガン細胞はカタラーゼを十分に製造していないと見られていて、この違いを利用して、過酸化水素がガン治療に使われています(一部のガン細胞は、カタラーゼをふんだんに製造しているようです)。

最大の問題は、過酸化水素をどうやってガン細胞の中に送り込むかです。過酸化水素を点滴などで血管に直接注入しても、血液内にもカタラーゼがふんだんにあるため、ほとんどがこのカタラーゼで分解してしまうようです。血液中の殺菌にはいいのですが、ガン細胞に届くころには、ほとんどの過酸化水素が分解されてしまう、と考えられます。

カタラーゼによって、過酸化水素は水と酸素に分解されます。過酸化水素はガン細胞に到達しないにしても、少なくともこの酸素はガン細胞にも、通常細胞にも届きます。

メキシコ・ティワナでクリニックを経営していたカート・ドンスバック(Kurt Walter Donsbach)博士によれば、過酸化水素を血液に投入すると、オゾンのときのように、あるいはオゾン以上に、血液がかなり鮮明になるそうで、「ガンに到達する過酸化水素は少ないにしても、酸素が届くだけでも、ガンを弱体化するには効果があります。ガン細胞には、酸素の少ない環境が適していますから」。

オゾンも、過酸化水素も、それだけでガンが治ると考える医師はいません。他の治療法と並行して投与されるケースがほとんどです。 (続く)


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